2010年6月15日

書店はどこへ(2)

昨日に引き続き、今日も朝日新聞夕刊に載っています。

記事で取り上げられているのは、松江の「本の学校」と丸の内の「松丸本舗」です。つまりは「書店員の能力と意欲の向上」が課題という認識らしいです。

それはもっともだと思いますし、どちらの取り組みも実験的な面白さに満ちあふれています。

が、どちらも、こういった記事などでしか読むことがないのではないでしょうか? つまり、「最近、業界内で話題になったこと」という話柄の一つです。あくまで「業界内で」であって、「世間一般で」ではありません。

こういう言い方は失礼ですが、それにあたしは詳しいことをよく知らないので、あくまで推量でしかないのですが、記事で取り上げられている松丸本舗についても「図書館や出版界からの反響が大きい」と書かれています。

ここを読んだときに、「ああ、結局は、また業界内だけで盛り上がっているんだ」と、ちょっと冷めてしまいます。本当なら、毎日毎日大勢のお客さんが押し寄せレジはどの時間も長蛇の列、売り上げも順調で毎日ン百万円も上がっています、ということが記事に書かれないとダメなのではないか、と思うのです。

今回の記事、確かに趣旨がそうだからなのでしょうけど、書店員がどうした、こうした、という記事ばかりで、結局、業界内で小さくまとまってしまっている印象を与えているだけのような気がしてしまいます。

翻って「一部の好事家のおもちゃだろう」と言われようとも、iPadはあれだけ世間を騒がせていますし、テレビも新聞や雑誌もトップニュースの扱いで報じています。たかが新しいIT機器の一つじゃないですか? それでも、あれだけの騒ぎになるわけです。それくらいの騒ぎを書店界も起こさないと、とはいつも思うのです。

でも、だからといって何ができるのかと問われれば、何も持っていない自分に気づかされるわけでして、そこが歯がゆいというか、自分もただの「野党」だな、という気がします。

書店だけでなく、もっと異業種との組み合わせによる化学変化を見たい気もしますが、単にPOSシステムを大々的に導入して機能的な流通を確立しただけでは、出版とか書店といった業界のよさまでぶっ壊してしまいそうですし、でも、そんなことで壊れてしまうほど(壊されてしまうほど)柔な業界ではないという思いもあります。

ああ、今日はなんだか昨日にもまして辛辣なことを書いてしまいました。関係者の方、気を悪くなさらないでください。

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