2010年6月 1日

読む少女マンガ

乙女の花束』読了。

一読した感想は、これは紛れもなく、文字で読む少女マンガです。さほど長くはない分量で、主人公の身に起こった、高校一年生の一年間が描かれていますので、非常にテンポがよく、どんどん話が進みます。ただ、それがために、登場人物の描き方に深みがちょっと足りないところもありますし、エピソードももう少し膨らませてもいいのではないかという気がします。

でも、そういった感想も、女子中高生などに言わせたら、「これくらいがちょうどいい」「長かったら眠くなって読み通せない」となるのでしょう。そういう意味で本書は、ふだんはコミックしか読まないような人、せいぜいケータイ小説しか読まないような人向けの本かもしれません。

内容は、オーソドックスな乙女系学園モノです。やんごとなき家柄の子女だけが通う、緑深い私立の全寮制女子高校が舞台で、天真爛漫で自然育ちの主人公に、比較的おとなしくて地味な親友、主人公を目の敵にするお嬢様、主人公があこがれる素敵な先輩と役者は揃っています。ストーリーも既読感のあるものが多く、落ちるべき結末に辿り着きます。

ただ、せっかくの学園モノなのですから、教授陣がもっと描かれてもよさそうにも思いますし、授業をはじめとした勉強のシーンがほとんど登場しないのが残念です。それに、こういった環境に放り込まれた主人公の成長が果たしてどの程度なのか、そこが不鮮明な感じもします。なので、第一学年はこうして完結しましたので、できれば第二学年、第三学年と書き進めてもらいたいです。

それにしても、花言葉と絡めた草花の描写はとてもきれいです。

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