2010年6月 8日

HMV渋谷の閉鎖

HMV渋谷がこの夏で閉鎖になるというニュース。なぜ閉店ではなく閉鎖というのか、そこに一番の興味がありますが、リンクを貼ったウェブの記事では「閉店」と言っていますね、今朝のめざましテレビでは閉店ではなく、あえて「閉鎖」と言っていたような気がします。

それはともかく、閉店にせよ閉鎖にせよ、つまりはCDが売れなくなったことが原因のようで、音楽配信の普及が最大の要因であることでは、おおかたの見方は一致しているようです。

となると、あたしが属するこの業界も、レコード・CDの次は書籍か、と色めき立つわけですが、そう簡単にはことは進まないでしょう。そもそもCDと本って、その形状にしても歴史にしても全然違いますから。

CDと言うより、その前進であるレコードの時代、レコードは外へ持ち歩くものではありませんでした。友達に貸すために持ち出すことはあったとしても、少なくとも歩きながら聞く、電車の中で聞く、というものではなかったはずです。

ところがカセットテープが登場し、さらにラジカセやミニコンポが発売されて、レコードをカセットテープにダビングすることが可能になりました。そして、ソニーの発売したウォークマンが出てきて、音楽は気軽に街へ持ち出せるようになったわけです。

このレコードの部分がCDに置き換わったって、もちろんCDのまま持ち出すという時期もあり、カセットに代わってMDというものが発売されたりもしましたが、時代はどんどん小型軽量化に進んでいったわけで、そうなるとわざわざCDをまず買って、そこからダビングしなくたっていいじゃない、という発想に行き着くのは当然の流れだと思います。

それに比べて書籍は、レコードと異なり、そもそもが持ち出せるものでした。街中、電車の中で気軽に読めるものでした。そういう特性がまずあるわけですから、レコードやCDがたどったような道を単純になぞるとは思えません。

では、どうなるかという見通しがあるわけではありませんが、まだまだ当面は問題ないだろうというのがあたしの予想です。よくCDはiPodが発売されて数年で駆逐されつつある、書籍の場合は、そこまで速くはないだろうけど、時期にiPadやキンドルに置き換わる、なんて言われます。

でも、あたし的に言わせれば、レコードの音源がウォークマンにダビングされるようになってから数十年(約30年くらい?)かかっているわけです。音楽ですらそれくらいかかっているのですから、書籍なら、もし完全に電子書籍に取って代わられるにしても、あたしは少なくとも100年近くかかるのではないかと密かに思っています。

どうでしょうか? ちなみに、あたしはなんとか長生きして、それを見届けたいと思います(笑)。

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