2010年5月27日

恋力はあるか?

大人の恋力』読了。

まず驚かされるのは、柴門さんの周囲には、どうしてこんなに恋をしている人が多いのでしょうか? もちろん、そういう連鎖詩を書いているので取材もしているでしょうし、それが引き金となって向こうから近寄ってくることもあるでしょうが、こんなに多士済々な人々が周囲にいたら、日常生活も商いだろうなあと思います。

さて、本書は、タイトルどおり、どちらかと言えば中年世代の恋ストーリーで、不倫話もありますが、ごくごくまっとうなラブ・ストーリーも多いです。みんな、中年になっても枯れずに輝いているんだなあ、と実感させられます。

著者である柴門さんはひと世代上ですが、本書で取り上げられているエピソードの主人公たちは、あたしと同世代が多く、まあ、このあたり、本当に若い世代から見たら「同じじゃん」と言われそうですが、とにかく非常な親近感を持てるのではないかと期待してました。

で、読み終わってみますと、確かに個々のエピソードは面白いし、へえーとうなずくこともありますが、どことなく違う世界の話を聞いているような、ガラス越しに部隊を見ているような、むかし流行った単語を使うなら疎外感とでも言うような気分を味わいました。

半ばまで読み進めた頃には気づいたのですが、これらのエピソードに登場する人たち、みんな、若い頃から、あるいは若い頃にはそれなりの恋愛経験を積んで今に至っている人たちばかりなのです。そういう経験があるからこそ、「この年になって...」といった、意地悪く言えば滑稽で、でもそれだけに真剣で、苦悩多い恋に身を焦がしている、焦がそうとしているのです。

それに引き替えあたしは、登場人物たちと同じような時間を生きてきたのに、恋愛経験はゼロ、だからそういう過去の経験に鑑みて、といったスタンスにそもそも立てない人間なんです。たぶん、この点が疎外感を感じた原因なんだと思います。

本書にも一人くらい、これまで全くモテなくて、という人が登場していたんじゃないかと思いますが、思い出せません。でも、そういう人が中年になって初めて恋をしたら、とんでもない暴走をしてしまうような気もします(←自戒を込めて...汗)。

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