2010年5月 3日

くじけないで

書店回りの途次、店頭で見つけて、ついつい買ってみました。

くじけないで』という、このタイトル、あたしには、なんかZARDの「負けないで」を連想させるのですが、こちらは百歳を目前にした女性の詩集です。

とりたてて、魂を揺さぶるような詩が並んでいるわけでもなければ、劇的な一生を送ってきたわけでもないようです。ごくごくささやかな日常の一こまを切り取って、飾らない言葉で表現している......、とまとめてしまうと、いかにも陳腐なのですが、齢を重ねた強さというものが感じられます。

年とったと思いつつも、あたしなど作者の半分も生きていないわけで、この境地に至るにはまだまだ時間がかかりそうです。

時間がかかるだけでなく、家族を歌った詩が多いですが、あたしの場合、母親と一人暮らしなので、自分で家族を築いたことがありません。そういった体験の有無も、これらの詩を読んだときに感じる感性の違いとなっているのではないかと思います。

あたしと同じ年齢でも、自分で家族を築いている人には、もっと違う感じ方があるのではないでしょうか? あと数十年たったとき、あたしもこんな境地に至れるのか、ある意味、とっくに達観している部分もありますが......

ところで、「くじけない」という言葉は「くじける」の非定型ですよね? あたし自身はこの数ヶ月、どうも精神的には落ち込んでいる状態で、なんとなく元気もないのですが、「くじける」という感じとは違います。

個人的には、「くじける」というと、ポキッと折れてしまう、そんなイメージがあります。くじけない強さ、なんて人は言いますが、中国思想を学んでいたあたしには、くじけない強さはあまり好ましいものとは感じられません。

ポキッと折れないために、鋼のような強さ・堅さを持つよりも、グニャッと曲がって受け流すようなしなやかさの方が上だと思います。それが本当の強さなのではないかと思います。

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