2010年5月 2日

電子書籍考[リーダー篇]

先日は電子書籍のことを書くつもりが、電子辞書のことばかり書いてしまいました。本当は、電子辞書のことを書くつもりではなかったのですが、なぜか成り行きでそうなってしまいました(汗)。

実は、先日のダイアリーで本当に書きたかったことというのは、キンドルやiPadなどの電子書籍リーダーを使っての電子書籍のことです。いえ、電子書籍考というタイトルですから、それを書くのが当然のことだったのですが......(汗×2)

で、どんなことが書きたかったのかと言いますと、いまや登場はまだかと期待値が高まっているキンドルやiPadですが、これらが登場したとして読書人口は増えるのかということです。

とりあえず、紙の本が売れなくなるのか、紙の本に取って代わるのか、といった議論は置いておきます。一番知りたいのは読書人口が増えるのかということです。

紙だろうと電子だろうと、作家や出版社からすれば、どこから収益が上げられるのであれば、極端な話、どっちだって構わないのです。もちろん2000円の本が売れた場合、紙の本だと一般に作家は印税として200円が手に入りますが、電子の場合はどうなのでしょう? アメリカではかなり高率な印税のようですが、売値が極端に安くなりますから、実際に手に入る印税はかなり安くなってしまう可能性が高いです。

同様に、出版社も一冊売れば、例えば200円の利益が出ていたのが、100円倉野利益にしかならないとしたら、冊数ベースでは倍売らないとならなくなります。もちろん、その他の経費などが全く異なるでしょうから、一概にそうだとは言えませんが、出版社として売上金額という単位で考えた場合は、やはり同じ金額を売るためには冊数が相当上積みされないと達成できなくなります。

つまり、本を買う人そのものが増えないとダメだということです。そういう意味で、キンドルやiPadは、今のところ、新たな読者を獲得・開拓するような起爆剤になっているのか、そこが気になります。これまでの読書人口が変わらないのであれば、出版社は却って疲弊する可能性が高いかもしれません。

少し前の、ケータイ。

これは電子書籍リーダーではありませんが、ケータイ小説というジャンルを切り開き、全く新しい読者層を生み出しました。確かに、この一年くらい、書店ではケータイ小説はほとんどヒット作も出ず、むしろ「お荷物」感すら漂いますが、ケータイの世界では相変わらず投稿作品も多く、中高生はそれなりに読んでいるようです。(いや、これも、もう下火なのでしょうか?)

つまり、ケータイは、確かに、今までとは異なる新しい読者を生んだと言えるのですが、キンドルにそれを期待できるでしょうか? 今のところは、デジタルグッズが好きな人が、多少は飛びつくだろうけど、新しい読者層を開拓、というところまでは伸びない気がします。

いくら読書人が「これは便利だ」と吹聴したとしても、これまで本などほとんど読んでいなかった人が、これによって読書に目覚めるほどの魅力があるのでしょうか?

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