2010年4月27日

電子書籍考[電子辞書篇]

今日、とある取次の方と話をする機会があり、話題が電子書籍のことに及びました。

いろいろな話題に話が飛ぶ中、電子辞書に話題が及びました。電子書籍としての電子辞書は、この数年、横ばい、ほとんど伸びていないとのこと。それは、あたしも実際に感じているところですので、全く同館です。

でも、紙の辞書の存立が厳しくなっている状況には変わりなく、電子辞書の伸びが一段落したからといって、紙の辞書の復権に繋がるとは思えません。もちろん、この長引く不景気ということも影響しているのでしょうが、仮に景気がよくなったとしたら、皆さん、紙の辞書を買ってくれるようになるでしょうか?

あたし自身、まだ買っていませんが、先日改訂版が出た講談社の「中日辞典」、大修館書店の「中日大辞典」は買うつもりです。小学館の中日辞典も初版、第二版共に持っていますし、講談社のも初版、第二版共に持っています。中日大辞典は、あたし学生時代に既に増訂第二版だったので初版は持っていませんが、増訂第二版は持っています。岩波の中国語辞典も持っていますし、光生館の辞書も持っています。

あたしの場合、専門が中国学なので特殊なのかもしれませんが、このように、辞書は一つ買えばそれで十分なのではなく、一通り買い揃えるものだと思っていました。なので、勤務先はフランス語が主力ですが、ディコとプチ・ロワイヤルとクラウンが三竦み、三つ巴なんて聞くと、どうして三つとも買わないんだろう、と不思議に思ったものでした。

結局、一般の方、第二外国語でちょこっとかじればいいだけの人は、できれば辞書なんて買わずに済ませたいのでしょう。で、あたしみたいに、ひととおり買い揃える専門課程の学生は、日本中でもごくごく少数、本当に数えるほどしかいないのでしょう。(ちなみに、漢和辞典も「大漢和辞典」を含め、数種類持ってます。)

話がずれてしまいましたが、辞書の行く末を考えますと、悲観的にならざるを得ません。ただ、個人的には、ケータイの可能性に期待しています。

現状では、ケータイは気軽に日本語以外の外国語(英語を除く)を扱えるようにはできていません。一部のスマートフォンは別かもしれませんが、日本人の大多数が使っているケータイでは、中国語やハングルはおろか、フランス語やドイツ語ですら自由に扱えません。

これが気軽に使えるようになると、ケータイで引ける外国語辞典として、語学教材の可能性は一気に広がると思うのですが......

ただ、問題はビジネスとして成り立たせることができるか。

少し前に、ウィキペディアのレベルが下がっているというニュースが流れていました。結局、ボランティアに頼る以上、こういう事態が起きるのは避けられなかったのかもしれません。ジャナンナレッジはビジネスとして成り立っているのでしょうか? 気になるところです。ジャパンナレッジが、中国語の辞書にも対応して、なおかつケータイにも対応すれば、これに乗っかる、というのはかなり魅力的なことだと思うのですが......

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