2010年4月20日

新刊点数は減るか?

本が売れない、売れないと言われながら、新刊点数だけは一向に減る気配がありません。

かくいう、あたしの勤務先も減らす方向にはないようで、むしろ売上金額を維持するためにも新刊点数を維持していく方向のようです。たぶん、どの出版社も同じことなんでしょう。

でも、無理して出して、無理して書店に押し込んだとしても、数ヶ月後には返品となって返ってくるようでは、結局元の木阿弥。書店の方も一冊一冊をしっかり見た(読んだ?)上で、並べたり売ったりしている余裕がないので、本に対する愛着も相対的に薄まってしまうのはやむを得ないと思います。

もちろん、これだけたくさんの本が出ていて、売っている書店員が一冊一冊に手間暇かけていられないわけですから、買う方の読者だってどれを買ったらいいのか、途方に暮れるのも無理はありません。もちろん好きな作家がいるのであれば別の話ですが......

結局、メディアで紹介された、有名人が薦めてた、といった「人の噂」頼みになってしまうんですよね。それはそれで、多くの人に支持されるものってのは「ハズレ」が少ないから安全パイと言えば安全パイなわけで、この不景気の世、無駄な金は使いたくない、どうせ本を買うならハズレの本は買いたくないという消費者心理もわかります。

しかし、この悪循環、なんとかやめられないものでしょうか?

仮に、日本中の出版社が、月の刊行点数を半分くらいにしたとして、当然のことながら、取次に入る本の総量もほぼ半分になるでしょうから、出版社の収入は、新刊に関する限りほぼ半分に減ってしまいます。

その減った分を既刊本の注文で補えるのであれば、出版社としては却って効率がよいわけですが、そんな簡単なものではないです。たぶん、既刊本が今以上に売れる可能性はそれほど高くはないと思います。

ただ、新刊が減る分、既刊本はこれまでよりも長い期間、本屋の店頭に並んでいる可能性があると思います。そうすると、出版社としては返品が少しは減る、書店としても置いておけば売れる可能性が少しは増える、読者からすると面白い本とで逢える可能性がちょっとは増える、というように、非常にささやかではありますが、どこにも利益になるはずなんですが、そのささやかな利益が、減った金額を埋め合わせるに足だけのボリュームなのかと問われると......

そうなると、出版社はリストラの嵐になりますね。だって、収入が減るわけですから、どこかでコストカットしないとなりません。でも、さすがに大胆なリストラはできないので、クビを切れない以上、収入を確保するためには、新刊を作っては取次に押し込む、取次はそれを書店に回す、ということになります。

悪循環が解消されないわけです。

それにしても、日本って、人口比で言うと、世界的に見て、書店の数って多いのかしら? 出版社の数はものすごく多いんじゃないかと思うのですが......。

事業仕分けで、出版社の数を半分くらいにしたら、出版不況って解消できるのでしょうか?


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