2010年4月18日

博物館の苦境と書店

今朝の朝日新聞に、博物館数が戦後初めて減少に転じたという記事が載っていました。それも一面のトップ記事です。

博物館と言いますと、先日見に行った長谷川等伯展や昨日のボストン美術館展など、人気の企画ではかなりの混雑で、入館待ちや入場制限も行なわれたりします。なので、なんとなく博物館って儲かっている、と思っている方も多いのではないでしょうか?

それに輪をかけて、「どうせ博物館って品物を展示しておくだけでしょ。警備員とかの人件費くらいしかかかってないじゃん」という意見も根強くあるみたいです。

確かに、そういう一面だけを見ていると、博物館の仕事って、楽だし金もかかっていないように思われるかもしれませんが、その準備にしろ、裏での維持・管理、展示品・収蔵品の修復など、ものすごくお金もかかり、またそれ以上に神経をすり減らすような仕事が多いものなのです。その一方で職員の方々は研究者の端くれでもあるわけで、当然のことながら研究もしないとなりません。

端で見るほど楽な仕事ではないのです。

それに、東京の、そういった人気企画をやっているところなどは確かに混んでいますが、地方の美術館とか、ちっちゃな施設など、一日にお客さんが数名なんていうところ、ざらです。それでどうやって維持費や運営費を捻出しろと言うのでしょう。

いや、館の独自性が足りないんだ、もっと努力をしろと言われるのももっともだと思います。

上にリンクを貼った朝日のサイトは、主として紙面一面の記事が見られるようですが、実際の記事は二面にも続いていまして、そこを読んでいましたら、なんとなく本屋とダブるところがありました。

記事の中の「博物館」を「本屋」に、「学芸員」を「書店員」に置き換えたら、そのままこの業界にも言えそうなことばかりではないかなと思いました。もちろん、博物館は営利目的の施設ではなく、本屋はあくまで商売であるという、根本的な立ち位置の違いはありますが、お互い「文化を担う」と言う面では共通するところもあるわけで、なんとなく考えさせられる記事でした。

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