2010年3月30日

距離の縮め方

いま仮に、ツヴァイでも、サンマリエでも、オーネットでも、ブライダルネットでもどこでもいいから、そういった結婚情報会社で相手をマッチングしてもらったとします。たぶん、相手の詳細なプロフィールと顔写真が送られてくる、乃至は事務所へ出向いてそれらを閲覧することになるのでしょう。

この時点で、相手から断われることもあるでしょうし、あたしから断わることもあるかもしれませんが、そういう事例をパスして、「まあ、いいんじゃない、この人で」となったとしましょう。

次の段階は、たぶん実際に逢うということになるのだと思います。つまりはデートですね。いきなり食事ということもないと思うので、まずはお茶でもしながら話をする、という流れでしょう。せいぜいのところ、二、三時間のデートでしょうね。

こういう場で、あまりにも無反応な相手を別とすれば、それなりに楽しくお話をする自信はあります。異性と話をすることに慣れていないわけではなく、苦にもなりませんから、一見すると楽しい会話が交わされている風な場を作ることはできるのではないかと思います。

楽しく数時間を過ごして、「では、また」と言って別れ、問題はその後です。

こっから先どうすればいいのでしょう? もちろん先方があたしを気に入ってくれたかどうかというのが最大の鍵で、その次にあたしが相手を気に入ったのか、ということになると思いますが、「気に入った」のか否かって、どうも自覚的にわかりません。「この人のこと好きになったのだろうか、好意を抱いているのだろうか」ということに確信が持てません。

ただ、そんな小難しい理屈はさておき、とりあえず先方から断わりの連絡もない(こういう連絡はスタッフから届くのか?)として、次は何をすべきなのでしょうか?

またデートに誘うのがよいのでしょうか? しかし、たぶん一回目のデートはお互い仕事もあるから土曜か日曜にしたとして、もう月曜か火曜には早々とその週末のデートに誘うのでしょうか?

いや、それではあまりにもガツガツしていると思われてしまわないでしょうか? 第一、この週末はあたしとのデートがあったわけですから次の週末はプライベートな予定が入っているのではないでしょうか? となると、さらにその次の週末にデートに誘うべきなのでしょうか?

このあたりの駆け引きといいますか、戦略といいますか、作戦といいますか、どう呼ぶにせよ、あたしには全くわかりません。スタッフが的確なアドバイスをしてくれるのでしょうか?

タイミングがいつになるか、インターバルをどの程度空けるのかはともかく、ではめでたく次のデートが決まったとして、やはり楽しくお茶しておしゃべりして、までは前回と同じ、たぶん二回目ともなるとお互いに適度に緊張感もほぐれているに違いないでしょう。もっと盛り上がるかもしれませんが、あたしの場合、急速に印象が悪くなる可能性も、これまでの人生経験上多分にあります。

そういう悪い予想は、またしばらくおいておき、二回目のデートの楽しく過ごせたとして、さあ、その次の段取りは(?)、と考え込んでしまいます。

たぶん、永遠にこういう状態が続くような気がしないでもありません。一歩先へ進める、と言われてもその一歩の歩幅がわかりませんし、どっちの方角へその一歩を踏み出すのかすら見当が付きません。考えてみますと、異性と付き合ったことがないからそうなのではなく、こんなだから異性と付き合えないのだと頭では理解しているのですが、もっと突き詰めて考えてみますと、あたしの人生、いわゆる「ともだち」というのも存在しないんですよね。

つまり異性だろうと、同性だろうと、表面上親しさを装っていることはできても、そこから先へ進ませることができないのです。繰り返しになりますが、それ以上先へ進めるというのが具体的にどんなことなのかわかりませんし、考えなくとも自然と進んでいくものなのかもわかりません。

ただ、個人的には、第一段階の親しさから踏み込んだら、あたしの悪い面ばかりが目について結局嫌われてしまう、これまでの親しさも壊してしまうという恐れがものすごくあります。あたしは絶対に他人とは心の底から仲良くはなれない、そんな先入観というか思い込みというかトラウマが、小さい頃からあたしの体に染みついて離れません。

いわゆる、他人との距離の縮め方がわからず、この歳まで生きてきてしまいましたが、ただ、無理して距離を縮める必要があるのだろうか、という天の邪鬼な考え方が心の中にあるのも事実でして、とりあえず表面上周囲とぶつからずに生きていけているのであれば、それでいいじゃないかとも思うのです。

それでも、表面上周囲とうまくやっている自分が、すごく偽善的に感じてしまい、自分で自分が嫌いになります。

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