2010年3月25日

活火山から火山へ

本日配本の新刊『火山の下』は、かつて1966年に加納秀夫さんの訳で刊行されていたものを、新訳で復刊したものです。書店の方、海外文学好きの方からの前評判と言いますか、期待はかなり高く、書店を回っていても「いよいよですね」とか、「待ってます」という声があっちこっちから聞かれます。

ただ、残念なことに、旧本『活火山の下』(←タイトルも微妙に変更!)は、あたしが入社したときには既に品切状態で、どんな本だったのか、全く記憶がありません。しかし、そこはそれ、刊行元の特権を利用して、どんな本だったのか倉庫から探し出してきました。



ざらざらとしたビニールカバーの掛かった、かなり地味な(シンプルな?)装丁です。こういうビニールカバーの掛かった本、昔はよくありましたね。あたしも持ってましたよ。「新しい世界の文学」という、当時刊行していたシリーズの第35巻として発売されたようです。なんと価格は600円! 安いですねえ。いや、当時としては高かったのかしら?

ちなみに、「新しい世界の文学」シリーズは、1978年の目録で見ますと、81巻まで刊行されています。(そこで打ち止めだったのか、さらに続いたのか、未調査です。)



オビには「本邦書訳」と謳っていますね。オビには更に
元モロッコ領事ジェフの悲劇的な終末の状況を意識の流れという拡大レンズを通して捕えながら《現在》に投影する《過去》を追求する
なんて書いてあります。一回読んだだけで、意味わかりますか?



開くと本文は二段組で、396ページもあります。今回発売の『火山の下』は新訳ですから、訳文も微妙に変わっているのでしょう。ちなみに、一番初め、扉のページに、旧本では「わが妻マージャリーへ」と書いてありますが、新本では「わが妻マージョリーへ」という、本当に微妙な違いがあります。

最初の数行を読み比べてみましたが、あたしには旧本の方が読みやすいと感じるのですが、それって、あたしが古い人間だからなのでしょうか? やはり漢文なんかを読んでいたから、多少古めかしい文体の方がしっくり来るのかもしれません。

こんなところで歳を感じるなんて......

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