2010年2月26日

電子書籍と本屋さん

少し前にも書きましたが、今年は電子書籍元年と呼ばれるようになるかもしれません。

別にそうなって欲しいとかって期待しているわけではありませんが、後世、そう呼ばれる可能性は高いと思います。

で、電子書籍が普及するということはどういうことなのか、この業界はどういうことになってしまうのか? 出版社としても考えないとならない問題でしょう。

まずはキンドルなどの電子書籍リーダーの普及がカギとなるわけですが、これもキンドルだけでなくソニーやアップルも参入してくるわけですから、激戦ですね。かつて音楽業界が直面した事態に、数年遅れで出版界が直面するという構図でしょうか?

ハードによって仕様が異なると普及の足枷になりそうですが、基本がテキストベースであるなら、各社のリーダーに対応するのは簡単でしょうし、たぶん、変換サービスとか、変換ソフトが出るのではないでしょうか?

で、そうなってくると本屋さんって不要になるのでしょうか?

まあ、各自が電子書籍リーダーから好きな時に好きな場所でダウンロードできるのであれば確かに要らなくなりそうですけど、実際の本を見てからダウンロードしたいという需要もあるのでは、と思います。そういう場合、やはりリアル書店が有効なのでしょうか? それとも、とりあえずリーダーにダウンロードして数ページ読めるようにしておき、代金を払わないと数時間とか一両日で読めないようになってしまう、なんて仕掛けはできないものでしょうか? もちろんこれはある程度の専門書とか文芸書の場合であって、コミックとか雑誌には試し読みはナシです。

場合によっては、現在のジュンク堂のようにたくさん本が並んでいる本屋ではなく、キンドルなどを接続できる端子を壁面にいっぱい並べたダウンロード専門の本屋ができるのでは、という予想もできますね。

もちろん、リーダー自身の通信機能(あるんですよね?)でダウンロードする人も多いでしょうし、雑誌などの定期刊行物だったら、ほっといても毎月とか毎週決まった日に自動的にダウンロードされる、という機能も出てくるかもしれません。いずれにせよ、本屋にとっては死活問題になるのかもしれません。本屋抜きで本が売れるとなると、当然のことながら取次会社も要らなくなりますよね? だって、リーダー用のデータは基本的に出版社のウェブサイトからダウンロードするわけですから。それとも出版社とは別にダウンロード専用のサイトができるのでしょうか? それは出版社主導、取次主導、書店主導、どうなるのでしょう? 音楽業界ってどうなっているのでしょうか?

でも、もしかしたら出版社も安泰ではないかもしれませんね。

巷間言われるように、この本ができるまでには某々さんという有能な編集者の力があったから、などなど。でも中には「編集者が偉そうに指図ばかりして、作りたい本が作れなかった」という思いを抱いている作家の人もいるのではないでしょうか? そうなると、もう出版社も取次も本屋も素っ飛ばして、自分のウェブサイトからダウンローできるようにしますよ、という作家の人も出てくるのではないでしょうか?

少なくとも、ふだんは出版社ベースで出しているけど、時に自費出版的に出版社を通さずにダウンロードできるように公開する人も増えるのではないかと思います。そうなると、プロの作家も素人の作家も関係なくなりますね。

なんか、結局、素人作家が何千、何万と登録しているケータイ小説サイトみたいな気がします。考えてみれば、キンドルをケータイに置き換えてみれば、もうとっくに電子書籍は日本では普及しているとも言えますね。

ケータイ小説は、ケータイを持てない(保有率が低い)中学生以下の需要もあるので、人気が出たものは本としても出版されてそれなりに売れています。(最近はどうも頭打ちのようですが......) そんな風に、まずは電子書籍として配信され、人気が出たので本としても出版されるという事態も大いにあり得るのでしょうか?

個人的にはダウンロードしたデータを、やはり好きな人は製本して手元に残しておきたいと思うのではないかと思いますので、好きな紙、好きなデザイン、好きな大きさで本に仕立ててくれる「製本サービス」が人気になるのではと思います。どうでしょう?

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