2010年1月15日

幼女と煙草

幼女と煙草』読了。

帯にあるように、確かにコメディではありますが、現代社会を強烈に風刺した社会はコメディと言うか、シリアスコメディと呼ぶのか、よくわかりませんが、とにかくそういう物語です。

内容は一章ごとに二つのストーリーが進んでいきます。一つは、執行間近の死刑囚が最後の希美として煙草の一服を要求する物語です。法律で刑務所内もすべて禁煙となっている一方、相当な理由がない限り死刑囚の最後の望みは叶えてやるべきという慣習法もあって、その両社の間で裁判官や煙草メーカーが動き回る話です。

かたや、しがない役所の職員が、たまたま隠れてトイレで煙草を吸っていたところを子供に見つかってしまい、それがなぜか子供に癒しがたいトラウマを与えたとされ、他の子供にも変質者さながらの悪事を働いたという罪で裁判にかけられてしまうお話。

最後には、ちょっと思いも寄らぬ因縁で二つのストーリーが結びつき、バイプレーヤーもなかなか個性的で、いちいちクスッと笑わせる要素が散りばめられています。

ただ、惜しいかな。

翻訳が悪いのではなく、あたしの読解力が至らないせいだと思いますが、シリアスな中にクスッと笑わせるツボが、イマイチピリッとしてないんです。なので、「ここ笑うところだよね」と前後からはわかるのですが、読みながら笑ってしまう感じにならないのです。

そのため、現代社会への鋭い風刺のはずが、どうもその舌鋒がそがれてしまっているみたいで......

あたしの読みが浅いのでしょう。

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