2010年1月23日

印税70%

「キンドル」と聞いて、「それ、何?」と言っているようでは、この業界の人間として失格なのでしょうか? でも、もしかすると、あたしの勤務先でも知らない人、聞いたことない人が何人かはいるような気がします。キンドルが製品の名前だということすら知らない人も多いかもしれないですね。

言うまでもなく(←少なくとも、あたしの所属する出版業界では?)、アマゾンの電子書籍端末のことです。日本語版もまもなく登場ということで、日本の出版社も何らかの対策を考えないといけないわけですが、どうも動きが鈍いというか、ほとんど動いていない感があります。

そのキンドルですが、アマゾンによると、著作者に払う印税を70パーセントにするとのことです。全部が全部というわけではないみたいですが、ある条件では70パーセントのようです。

ふつう、印税は10パーセントと言われてますよね。実際には、出版社によって8とか6という場合もありますし、本によっては買い切り、ということもあります。ただ、これまでは伝統的に、印税は10パーセントというのが、一つの目安というか平均値として語られてきたわけです。

これが70パーセントになるのですか? いや、あくまでアメリカの話であって日本のことではないですが、もし日本でもそうなったら......

たとえば、1000円の本を1万部作った(売った)とすると、1冊につき印税は100円なので100万円の印税収入があるわけですよね? ところが70パーセントになると、700万円ですか? こりゃ、物書きとしては、既存の出版社と契約するよりもアマゾンと仕事をした方が収入が増えて嬉しいですよね? (記事を読むと、販売価格を低く抑えるため、印税の率は上がっても、金額はそれほど増えないような仕組みになっているみたいですが......汗)

人気作家など、「自分はもう出版社から紙媒体では小説を出さないよ、キンドル一本で行くから」と言い出す人も出てくるのではないでしょうか? もちろん紙の手触りとか、美しい装丁など紙の本ならではの味わいってのもありますが、収入にこれだけの差がつくとなると、そんな耽美的なことは言ってられないのではないでしょうか?

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