2010年1月 8日

2010年01月号

本紙「出版ダイジェスト・白水社の本棚」前号に掲載しておりますが、自社の本ながら、『湿原のアラブ人』の表紙カバーには驚かされました。タイトルがなければ、これがイラクについて書かれた本だとはとても思えません。

アラブ世界といえば、茫漠たる砂漠の世界をイメージする方も多いのではないでしょうか。しかしチグリス・ユーフラテスを中心に、四大文明の一つが花開いた地。水資源に恵まれていたのも当然かもしれません。

そんな私たちの思い込みを打破してくれる表紙カバーの本がまた一つ刊行されました。『パリが沈んだ日』です。これもタイトルを隠してしまえば、パリが舞台の本だと誰が予想できましょう。まるで台風の襲来を受け、ゴムボートで救助された人々のニュース映像を見ているかのようです。セーヌ川と聞けば穏やかな印象がありますが、氾濫を起こすこともあるのですね。

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