2009年10月11日

書店発なら

たいていの新聞の最下段は、本や雑誌の広告欄です。毎月毎月、決まった場所に決まった出版社の広告が載っていたり、時には大きく時には小さく、趣向を凝らした広告が載っています。あの広告の効果がどのくらいのものなのか、たぶんどの出版社も本当に客観的なデータって持っていないと思いますが、知るのが怖い気もします。

書評欄とともに、広告の切り抜きを持って本屋さんに本を買いに来ている人ってのは、営業回りをしていてもよく見かけますから、やはり宣伝媒体としては今も第一のものなんでしょうね。確かに、近所のスーパーのチラシのように、近所の本屋が「明日は恒例の朝市です」っていうチラシを新聞に入れてくるなんてことは、あたしの人生で一度たりとも経験したことありません。あったら面白いですし、値引きができない本屋だって、再販制が崩れたら、こういったチラシも出現するかもしれないと思います。

おっと、書きたいことから逸れてしまいました。

実は振り返ってみればずいぶん前からあったわけですが、この5年くらい(?)、かなり目立つようになったものとして、広告欄に書店員のコメントが載るパターンの広告があります。もちろん、スペースが大きめの、大手出版社の売れてる小説などの広告によく見られるもので、作家や評論家、あるいは読者カードからの抜粋(つまり読者の声)などとともに、書店員さんのコメントが載っているのが、この数年目立つようになりました。

本屋大賞が端的に表わしているように、いまや本のヒット商品は書店員が作っていると言ってもいい状況で、書店員のコメント一つで売り上げが天と地ほどの開きになることもざら。出版社もこぞって書店員の方にコメントを書いてもらおうと、本ができたら贈呈しますし、それでは間に合わないからとゲラを読んでもらったりということも日常茶飯事です。

その是非をどうこう言おうというのではありません。たまたま、今日の朝日新聞読者欄に都内の三つの書店の方が最近の本の中からオススメを紹介している、それぞれはごくごく短い記事が並んでいたので、ふと思ったのです。

この朝日の読書欄、全国同じ内容なのだろうか、と。

上にも書いた広告にしろ、今回のような記事にしろ、書店員のコメントを載せる場合、まずはあっちこっちに依頼をするのは新聞社だって出版社だって同じで、その中から期日までに返事をくれたコメントの中から広告効果のありそうなコメントを選んで載せているのだと思います。(依頼しても忙しくて断わられる場合も多々あるでしょう。)

こういう時に、載せる側の新聞社や出版社はどの程度バランスを考えるのでしょう? 今回の朝日新聞の記事の場合、三名とも女性、なおかつ都内の書店員です(女性だからなのか年齢は書いていませんね)。全国同じ内容で載るのであれば、もう少し東京以外の書店の人、あるいは男性を一人くらい加えるという配慮も働くのではないかと思ったのです。そういう意味でのバランスです。

もちろん記事の読者層がかなり限定されているなら別ですけど、あの紙面を見る限り必ずしもそうとは限っていないようです。(一応は十代向けのコーナーだったかな?) 全国の書店員に漏れなく登場してもらうのは無理ですが、三人選ぶなら、東京、大阪、名古屋とか、あるいは大都市だけに偏らないようにするとか、そういう配慮ってしないのかなあ、記事を見ていてそんな風に感じました。

それとも、今回はたまたま東京の三名になったけれど、来週以降はいろいろ全国の書店員さんが登場するのでしょうか?

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