2009年9月20日

薬物

土日はこの一週間を振り返るような情報番組が多いですが、今週はやはりなんと言ってものりピーのニュースがダントツですね。記者会見の映像はあたしも見ましたが、昨日、今日と改めてテレビで流れているのを観ていて、ふと違和感を感じました。

正確な引用ではないですが、「手を出してはいけない薬物」というセリフを、のりピーは言ったような気がします。多少違うかもしれませんが、確かに言っていたはずです。

このセリフのどこが気になるのかと言えば「薬物」という単語です。別に「薬(くすり)」でも構いません。

普通に考えて「薬」も「薬物」も、まず第一には「体の不調を治すもの」という意味がありますよね。しかし、こういう場合の「薬」は完全に麻薬や覚醒剤など<悪いもの>として使われています。

同じ、というか一つの「薬」という単語に、体によいものと悪いものという全く正反対の意味が持たされているわけです。たぶん、見出しなどではわかりにくくなるからでしょうか、麻薬などの場合「クスリ」とカタカナ書きにしたり「ヤク」という読み方をしますよね。

手元の英和辞典で調べましたら、「drug」にも一般的な「薬」の意味と、もう一項目、「覚醒剤」や「麻薬」という意味が立てられていました。日本の国語辞典はどうなのでしょう? 「薬」という見出し項目の意味に、いわゆる薬とは別に覚醒剤、麻薬という意味を立項しているでしょうか? こういうことって言われてみればわかりますが、辞典などの意味記述でもきちんと分けて立項されていると学習者・利用者は理解しやすいですよね。

なんてことを考えていて思い出したのは、伊地智善継先生のことです。



伊地智先生は『白水社中国語辞典』を編纂されているとき、しばしばこういった使い分けというか、微妙な意味の違いを、学習者の便宜を考えて別に立項していました。ついついあたしはその姿を思い出してしまいます。

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