2009年9月16日

感光生活、など

感光生活』読了。

10月初めに、池袋のジュンク堂書店である小池さんと穂村さんのトークイベントの準備勉強として読みました。読んだのはちくま文庫版です。

直前に柴崎友香さんを読んでいたのですが、どちらも何気ない日常を切り取ったような短編集ですが、こうも違うものかと思い知らされました。柴崎さんの方は、本当に日常の一こまで、言葉を悪く言えば、そこにはドラマがない感じです。何か大事件が起こるわけでも、主人公の心がリセットさえるようなエピソードがあるわけでもありません。

それに対して小池さんの本作は、一つ一つにエピソードがあります。エピソードと呼ぶにはささやかなものですが、一応は話の中でストンと落ちるところに落ち着くような、あるいは暗示めいた余韻を残して結ばれます。

これが作者の個性というものなのか、あるいは二人の年齢差によるものなのか。恐らくどちらでもあるのでしょう。で、どちらが好きかと問われれば、小池さんの方が小説を読んだという気にさせられます。ただ、その一方で、柴崎さんの方には、今どきの若い人ってこんな感じなのかな、というある種の新鮮なショックを覚えました。

それと、小池さんの本作は、ささやかな日常のエピソードと呼ぶには、かなり変わったものも含まれていて、またそれぞれが独立している短編集なのですが、作品を読み進むにつれて毒の割合が増えていく感じがします。

毒というと語弊があるなら、人間の業の深さみたいなものを徐々に強めていく感じがあります。あえてそういう作りにしているのか、あたしにはわかりませんが......。

ただ、そのためか、後半の作品ほど、あたしにはフィットする感じがあります。



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