2009年8月20日

仏とか読とか

フランスのことを日本では「仏」と書き表わします。「仏蘭西」の略なわけで、ですから「仏和辞典」と言えば、フランス語から日本語を引く辞典、という意味です。

で、こういう場合の「仏」の字は「ふつ」と読みます。「ふつわじてん」以外にも「日仏会館(にちふつかいかん)」「仏検(ふつけん)」など、探せばそれなりにたくさん見つかります。

でも、日本人にとって「仏」は、まずは「ぶつ」と読むものではないでしょうか? あたしは、そう思ってます。たぶん、日本人の9割は何の先入観も与えず「仏」という字を示して「読んでみて」とお願いすれば、100人中95人くらいが「ぶつ」と読むと思います。

あっ、「ほとけ」と読むのは、今はなしです(汗)。

ところが、これがあたしの勤務先になると全く逆で、ほぼ百パーセント「ふつ」と読むのです。会社に入った当初、書名にあった「仏」を「ぶつ」と読んだら、先輩社員から「それはおかしいだろ」と言われました。

確かに前後関係からフランス語の本だとわかるわけですから「ふつ」と読むべきであり、「ぶつ」と読むのは「おかしい」のはわかりますが、その当時は、そのことをいかにも当然、常識のように言う先輩社員にムッと来たものです。

でも、あたしの推測で言えば9割近い人が、まずは「ほとけ」の「仏」、つまり「ぶつ」と読む世間において、フランスの場合は「ふつ」と濁らないで読む、ということを、どれくらいの日本人が「常識」として理解しているでしょうか?

いまだに、実はあたし、腑に落ちなく思っているのです。そして、社内において、なんとなく居心地が悪い、会社にしっくりと溶け込んでいないと感じる原因がたぶんこんなところにあるのではないかということもうっすらと感じています。

この流れで言えば、もう一つ「読」という字の読み方です。

この字も、たぶんほとんどの日本人は「どく」と読みますよね。歴史好きなら誰もが知っていそうな雑誌「歴史読本」も「れきしどくほん」ですよね?

ところが、語学の教科書(大学の授業用テキスト)の世界には「文法読本」というジャンルがありまして、これはなぜか昔っから「とくほん」と、これまた濁らないで読むのです。

ただ、こちらの場合は、ウィキペディアにも出ていますが、「読本(よみほん)」との混同を避けるために読み分ける習慣が発生したのでしょう。書名だと「荘子(そうじ)」と読み、人名だと「荘子(そうし)」と読み分けるのと同じだと思います。

でも、ウィキペディアでは「どくほん」という読み方は立項されていないですね? あれ? 「歴史読本」って「れきしとくほん」って読むんでしょうか?

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