2009年8月 6日

日曜日には僕は行かない

『日曜日には僕は行かない』を読みました。正確に書くと、新潮文庫の『恋人たちの森』を読んだわけで、四篇のボーイズラブが描かれている中の一つがこの『日曜日には...』です。

なんで今さら森茉莉を、と聞かれれば、やはり乙女として読んでおかなければならない作家でしょう、ということにつきますが、最初に読むのがこの作品でよかったのかどうか、次はちくま文庫だな、と思い定めております。



ボーイズラブの世界は、堪能できたようなできないような、やはりそういう意味ではあたしは至極ノーマルだなと改めて感じたのですが、ただ、森茉莉さんの描く人物の心象や表情の描写、建物や室内の調度品、服装などの細かな描写はとても愉しく読めました。ありありと、というにはそういった物に関するあたしの知識が乏しすぎますが、それでも目に浮かぶという表現がぴったりなほどの描写でした。

ところで、あたしが読んだのは新潮文庫の第33刷、平成16年12月の版ですが、この313ページに次のような文章があります。
達吉は釣銭の中から勘定を伝票の上に載せ、脇の棚に載せてあった新刊らしい白水社の紙包みの方に手を出した時、半朱が帰って来た。
この「白水社」って、あたしの勤務先のことですよね? 紙袋って何でしょう? 昔は洋書(フランスからの輸入書)を扱っていたので、店売部があったような話を聞いたことがありますが、それなのでしょうか? 少なくとも現在は紙袋なんてありません。

ただ、少し前に勤務先の「耳より情報」にも掲載しましたが、書皮を作っていた時代があるようです。森茉莉さんももしかしたら洋書を買いに来て、こんな書皮が手元にあったのかもしれません。

それにしても、この小説の達吉が買い求めた新刊って何だったのでしょう?

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