2009年7月26日

出版社のウェブサイト浅考

この数年、出版社もかなりウェブサイトが充実してきたと思います。

新刊情報は当たり前。出版書籍の検索、出版物に関するイベント情報、書評情報、書店向けの注文書やポップのダウンロードコーナーなど、コンテンツもほぼ同じと言ってしまえば語弊がありますが、かつての「表紙ページだけ作りました」状態から考えるとかなりの進歩です。

ただ、個人的に不満があるのは、たとえば、これだけ出版社があるというのに、ケータイサイトまで持っている出版社はまだまだ数えるほどです。雑誌などの個別サイトはある、という場合もあるのですが、そんなのは例外中の例外で、ほとんどの出版社はケータイサイトに関して無頓着に近いです。

まあ、ようやくこの数年、通常のサイトが充実してきた状態なので、さらにケータイもというのは、こちらもちょっと欲張りかもしれません。特にケータイは3キャリアの仕様が微妙に異なりますので、すべてに対応できるようにするのは、結構大変でしょう。たぶん、お金もかかると思います。一部を除いて9割方は貧乏な零細企業が多い出版業界では、なかなかそんな資金は捻出できないのが現状だと思います。

でも、PCが頭打ちで、インターネット接続はもっぱらケータイという人が多くなっている昨今、情報発信の面からもケータイサイトの運営は必須になるのではないかと思います。

でも、ケータイサイトは、今のところ大手出版社ですらほとんど開いていない状態なので(だからこそ、中小出版社が頑張らないといけない?)、それほど慌てる必要はないのかもしれません。

一方、一般の企業サイトに比べて遅れているなあと思えるのが多言語化です。特に英語版を用意している出版社のサイトは、これまたほとんどない状態です。一般企業(何をもって一般というのかは難しいですが...)は英語版、中国語版、韓国語版などを用意しているところが増えていますね。特にアミューズメント系、サービス業系の企業では。

出版だってサービス業だろう、と考えますと、やはりサービス精神において遅れていると言えるのかもしれません。そんなの需要があるの(?)と言われそうですが、それを言ったら他のサービス業だって同じことです。需要と言うよりも、どれだけ「やってますよ」という姿勢を見せられるかが肝心なのでは?

といろいろ書いてきましたが、実は本来あった方がいいと思うウェブサイトのコンテンツでほとんどの出版社がやっていないのが「品切れ本・絶版本」の情報です。多くの出版社のサイトには書籍検索の窓がありますが、ここで検索できるのは現在本屋で買える本、すなわち在庫がある本に限られます。たぶん、ほとんどの出版社でそうなっているでしょう。

出版社側の言い分としては、品切れ本が検索結果に表示されると、読者はまだ在庫があるものだと思って書店に注文してしまうから、というところでしょう。でもこれはきちんとわかるように、目立つように「品切れ」と表示させればいいことではないでしょうか?

むしろ本当の本好きにとっては、ある本(探している本)が「確かにその出版社からかつて刊行されていた」という情報が得られるだけありがたいと思います。特に、検索の結果、出版年月や著者名、それに正しいタイトルがわかるわけですから古本屋で探すにしろ図書館で探すにしろ、確かな手がかりをえられることになるわけです。

なぜに出版社は過去に遡って品切れ・絶版書目の検索を可能にしないのでしょうか?

もう少しその理由をあげるなら、出版社によっては過去の書誌データが残っていない可能性もあります。少なくともデジタルデータとして残っていないとウェブで公開するにしてもちょっと手間がかかるかもしれませんね。

あと、古い出版社ですとデータが膨大になり、通常の書籍検索のスピードが遅くなり、そちらの使い勝手が悪くなってしまうという問題があります。だた、これはサーバーの性能である程度は解決がつくでしょうし、ウェブへアクセスするそれぞれの接続環境にも左右されるので、どこまで実害として出るのかはなんとも言えません。

そんな中、勁草書房のサイトでは「品切書目」「絶版書目」の検索がメニューの一つとしてちゃんと載っています。書籍検索の項目の一つに品切や絶版という選択肢を加えているわけですが、管見の及ぶ限り、そこそこ有名な出版社でこうして品切・絶版まで調べられるのはここだけではないでしょうか?

あたしの勤務先はなにやってる?

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