2009年7月 6日

人文書のボーダー

もうじき東京国際ブックフェアです。いや、もうじきどころか、今週なんですね(汗)。

さて、そのブックフェアで、あたしの勤務先も一枚かんでおります「書物復権」8社は各社それぞれのブースと、8社協同のブースを出しております。そして、それとは別に、金曜日の午後から書店の人文書担当の方を招いてセミナーも開催予定です。題して「書物復権8社の会・新企画合同説明会」です。

ところで、あたしの勤務先はこの秋から冬にかけて、9・11、プーチン、89年の東欧革命などの本を陸続と出版いたします。今回の「新企画」もそれらを中心に書店の方々へご案内する予定なのですが......

いま挙げたようなテーマの本って、「人文書」担当の方でよいのでしょうか?

多くの書店を回っていますと、一般に第二次大戦までは歴史の棚に置かれていて、人文担当の方の管轄です。一方、第二次大戦以降を扱った本の場合、海外事情とか海外ノンフィクションの棚に置かれていて、社会担当の方の管轄になっています。

となると、書物復権8社の説明会としてはひとまずよいとしても、あたしの勤務先に関して言えば、人文担当の方が集まっている席で開く説明会としてふさわしい書籍なのでしょうか、という素朴な疑問がわいてきます。

もちろん、そんなに棚の分け方を堅苦しく考えなくてもいいという意見もあるでしょうし、あたしもセクト的になるのはイヤです。でも担当者が違うという厳然たる事実が多くの書店現場にある以上、それを考えないわけにはいきません。


その一方、人文と社会との線引きが第二次大戦でいいのか、という疑問もなくはないです。例えばキューバ危機とか文化大革命など、日本人の多くの感覚ではこれらは「現代」と言うよりも「歴史」ではないでしょうか?

先日も書店で人文担当の人とそんな話をしていて、例えば昭和までと平成以降で分けるのも今後はあり得るかも、という話になりました。つまり境目は1989年です。日本では昭和天皇崩御に伴う年号の変更というわかりやすい印がありましたが、世界的に見ても天安門事件や東欧の共産社会瓦解、ベルリンの壁崩壊というエポック・メーキングな年だったと思います。

あと、21世紀以降を現代とし「社会」の棚、それ以前は「歴史」の棚で扱ってもいいのでは、という人もいました。これはかなり思い切った意見ですが、数年後にはそうなっていないとも限らない意見ではないでしょうか?

さてさて、実際の現場の方々、このあたりのボーダーについて、どのようなお考えをお持ちなのでしょうか?

読んだ感想を書く