2009年6月11日

直販?

他の出版社の人はどうしているのだろうかと時々思うのですが......

営業部にかかってくる電話は、あたしの勤務先の代表電話番号でもあるので、必ずしも営業部向けの用件でないものもあります。そういうものは話を聞いた上で、それぞれの部署に転送しますが、なんだかんだ言っても、やはり書店さんからの注文や問い合わせ電話が一番多いです。(そうでないと売り上げも伸びませんから......汗)

で、その次に多いとまでは言えないかもしれませんが、意外と多いのは読者の方からの電話です。単なる問い合わせのものが大多数です。まだありますか、とか、いつ発売ですか、というものが多いです。

そんな中、読者からの電話で多いのが「本を送ってください」というものです。もちろんただで送れ、というのではなく、あくまでご購入くださるという電話なのですが、たいていの人が送ってくれたら届き次第お金を振り込みますから、とおっしゃいます。

こういうとき、他の出版社はどういう処理と言いますか、対応をしているのでしょうか?

基本的に、本と一緒に振替用紙などを同封して送るということは、あたしの勤務先ではやってなくて、ブックサービスを案内するのが常道です。読者の方にはもう一度ブックサービスに電話をかけ直してもらうことになりますが、そうしてもらっています。

こういう電話をかけてくる方は、ほとんどが地方在住で、近所に本屋がない、あっても小さな本屋で、雑誌やコミック、文庫・新書ばかりという品揃えのようです。県庁所在地などまで行くのは一日がかりの旅になり、交通費もかなりかかる、それなら送料を取られても送ってもらう方がむしろ安上がりという、都会に住んでいる身には考えられない環境のようです。

そういう事情は同情いたしますが、こちらも商売ですので、いきなり代金ももらわないうちに本を送るということはしません。でも、時々電話をかけてくださる方の中には「●●出版社は送ってくれましたよ」という言い方をされる人もいますので、他社はどうしているのか、気になるのです。

ただ、それ以上に気になるのは、多くの人が電話をかけてくるきっかけは新聞の広告や書評の記事で、それで見て読みたくなりまして、という理由を挙げます。で、そのまま電話をかけてくるわけです。でも、考えてみてほしいのは、たとえばテレビのCMで洗濯機やテレビ、エアコン、あるいは自動車を見て気に入ったからといって、いきなりパナソニックや日立とかソニー、トヨタ自動車に電話をして「テレビを送ってください」「エアコンが欲しいんですけど」と言うでしょうか?

そんなことしないですよね? ほとんどの人が近所の電気屋さん(量販店も含め)とか、自動車なら販売店へ行くじゃないですか? いきなりメーカーに電話をして商品を送ってもらうという思考回路はないと思います。

なのに、なぜ本だけは出版社に気軽に電話をかけてくるのでしょうか? 本だって本屋さんで買うという知識は常識化していると思いますので、家電などと変わらないでしょう。本はそういった商品に比べて相対的に安いからでしょうか?

それともパナソニックや東芝、トヨタ、日産などにも日々何件も「送ってください」という電話がかかっているのでしょうか? それも知りたいです。

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