2009年6月10日

WHERE?

村上春樹の新刊『1Q84 BOOK 1』『1Q84 BOOK 2』が100万部突破だそうですね。あたしの勤務先などを含めた中小出版社1年間の発行部数総計の何社分に当たるのでしょう? そんな天文学的数字に感じられます。

まあ、このニュースは重版(増刷)が決まって、1巻、2巻トータルで100万を超えたということで、実際に現時点で市場(ネットも含めた本屋さん)に出回った部数は70から80万程度なのではないでしょうか? これはこれで既に十分すごい数なんですが、営業回りをしている書店では軒並み品切ですね。

さてさて、この本、いったいどこにあるのでしょう? 回っている書店で「初回にどのくらい入荷したんですか?」とか「追加は?」みたいな話を総合すると、それと調べられる限りのPOSデータなどを勘案すると、これだけ発行したにもかかわらず、いったいどこに行ってしまったのでしょうか(どこに行けば置いてあるのでしょうか?)という疑問がわき起こります。

もちろん全国津津浦々の書店にまで数冊ずつ行き渡ればこれくらいの数になるのでしょうが、本当に「実際のところ、どこにあるの?」という感じです。


それにしても時々ニュースにもなる出版界の返品率の高さの問題。

100万部といえば、1割でも10万部です。最近は返品率4割だ、5割だなんて言われます。『1Q84』はこれだけの人気で、現に売れていて品切れ店続出ですから、そこまで高い返品率にはならないと思いますが、それでも1割、2割でも返品されて戻って来たら、倉庫はいっぱいになって置ききれなくなり、大変でしょうね。

しかし、今回の騒ぎ、関連する他の書籍にも影響が出たり、『1Q84』がないから別な本を代わりに買ってくれたりと、ふだんは本屋に来ないような人までを本屋に呼び寄せる効果もあって、これで長引く出版不況にも薄日が差すといいのですが......

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