2009年6月 3日

フランス的人生

ずいぶん前にジュンク堂書店新宿店で行なわれた、社長こと豊崎由美さんの海外文学のトークイベント。その時のゲスト、野崎歓さんとお二人で盛んに薦めていた一冊が『フランス的人生』です。お二人の口車に乗せられて(?)当日会場で購入し、その時点では別の本を読んでいたのでしばらく寝かせておいたのですが、少し前から読み始めて、ようやく読了しました。

さてさて、いわゆる最近流行りの(=王様のブランチなんかで紹介されがちな)、読みやすい本ではないですね。もちろん、あたしごときには、これがまさしくフランス文学と呼べる(呼ぶべき)作品なのかどうかは判断できません。

ただ、フランスでベストセラーになったというわけですから、フランス人には受けたのでしょうね。章立てがフランス大統領の名前になっていて、ある男性の人生を淡々と語るわけですが、フランス史にとりたてて詳しいわけでもないあたしには、この作品のどこに面白さを見つければよいのか、全くわかりませんでした。まさか、ところどころに差し挟まれる、主人公のエッチのシーンのわけでもあるまい(爆)。

しかし、ある人の人生を描き出すことによって、その国の歴史(現代史)を描くというのは文学作品ではままあることで、そのフランス・バージョンなんだと考えると、案外わかりやすい作品なのかとも思えます。たぶん、これが中国なら、もっと拙い作品でも、あたしは面白く読んでしまったでしょう。

だとすれば、なおさら、フランス現代史についての知識があたしに十分あれば、もっと楽しめたのではないかと、ちょっぴり後悔しています。それと、もう少し主人公の周囲の人間がキャラ立ちしていれば(特に彼の妻とか)、よかったかな、とも。主人公も含め、どの登場人物もあたしには輪郭がぼんやりしていました。

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