2009年3月27日

いいなあ、こんな本

書店回りの途次、書棚でこんな本を見かけました。まだ最近出た本のようです。

三大編纂物 群書類従・古事類苑・国書総目録 の出版文化史

いかにも勉誠らしい出版物じゃないですか。

この三つの本、というか叢書(?)、あたしはどれも使ったことがあります。はい、読む本ではないですよね。あくまで調べるための本でしょう。小松茂美先生の仕事のお手伝いをさせていただいた折に繙きました。

もちろん前々からその名前や存在は知っていましたが、中国学ではそれほど使用頻度の高い工具書ではなかったので、実際に使う必要に迫られなかったので、いざ使う段になると、なかなか使い勝手に苦労しました(汗)。

それにしても、こんな本を3200円という値段で出してくれるなんて、あたしは嬉しいです。もちろん「安い」と感じます。(確かにそれほど分厚い本ではないですけど。)


中国学の場合、工具書と言えば、とりあえず『大漢和辞典』はおくとして、まずは『中国学芸大事典』が挙げられると思います。あたしも大学入ってじきに買いました。

ただ、しばらくして研究室や図書館に、これよりも遙か以前に出た『支那學藝大辭彙』という辞書(著者は「大事典」のお父上)があるのを知りました。現物を見る機会はほとんどなく、どんな辞書かなと思いながら、あたしは『中国学芸大事典』を利用していたのですが、あたしの恩師・中下正治先生との雑談中にこの辞典が話題になり、「親父さんの方がセンスがあった」と語るのを耳にし、俄然『大辞彙』に興味を持ちました。

で、神保町の古書店などを見ていると、時折この本も売られていますね。あまりに汚いものだったりするので買いはしませんでしたが。

そんな中、仕事でお邪魔した今は亡き伊地智善継先生のお宅で、ようやくじっくりと手にとってみる機会を得ました。本文といいますか辞書の本体については、やはり記述が古いなと思うものの、特に現在の大事典と比べてどうのという感じはしませんでしたが、付録を見たときに、あたしも「あっ、中下先生のおっしゃっていた意味がわかる」と感じました。具体的に説明するのは難しいのですが、なんかビビッと感じたんです。

以上、工具書にまつわるお話でした。

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