2009年3月23日

秀吉は陽性か?

前のダイアリーで『プリンセス・トヨトミ』を読んだと書きましたが、その中で一つ気になるところがありました。別に著者の万城目さんのスタンスがどうのという話ではありませんし、本の内容に関わることでもありません。

どういう話の流れだったかは忘れましたが、豊臣秀吉は陽性で大阪の人々に愛され、といったようなことが書いてありました。もしかしたら、そんな記述はなくて、あたしが勝手にそう思い込んでいるだけもしれません。でも、この手の書きぶりって、いろいろな本にもありますよね。

曰く、秀吉が明るい陽で、家康が暗い陰という図式です。

あたし、この分け方に小さい頃から違和感を感じているんです。つまり、あたしの小さい頃からの印象では秀吉の方がよっぽど陰性に見えてしまうんです。

あたしは別に在野の歴史家でもなければ織豊時代や江戸初期の研究者でもありません。丹念に歴史書をひもといて調べたわけではなく、いろんなドラマとか小説とか、テレビの歴史番組や歴史ドキュメントなどを見たり読んだりして作り上げたイメージなんですけど......

確かに、あたしが小さい頃、「少年徳川家康」とかいうテレビアニメが放映されていて(原作は山岡荘八ではなかったか?)、それを熱心に見ていた影響で、竹千代(←家康の幼名)はかわいそう、というイメージがすり込まれた影響は多分にあると思います。

でも、秀吉だって、晩年に秀次を殺し、淀君に迷い、秀頼かわいさにバカ丸出しで、かなり陰湿な独裁者の顔を見せているではないですか? それに、朝鮮出兵だって、どう見ても成り上がり者の愚かな夢想・妄想でしかなくて、本当の日本の行く末を見定めた大局的な方針というか定見なんか微塵も持っていなかったかのような印象を受けます。

秀吉と言えば、貧乏百姓から才覚一本で天下を取ったということで庶民的な人気は高いのかもしれませんが、どうみても人品卑しい人間が身の程知らずにも高い地位に昇ってしまい、その権力の行使の仕方もわからず、ただいたずらに己の虚栄心を満たすためだけに行動した、そんな印象しか持てません。

つまりは天下人にはなってはいけなかった人ではないか、というのがあたしの見立てです。明るく見せて実は心の底ではちっとも笑ってなんかいなくて、非常に根暗、なかなかねちっこい粘着質のタイプをイメージしてしまうんですが、こういう見方はあたしがおかしいのでしょうか?

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