2009年3月12日

新書活況?@朝日

今朝の朝日新聞は出版絡みの記事が二つ。

まずはその一、グーグルブック検索。

この件は少し前にも書きましたが、著作権の切れた歴史的な作品などが閲覧できるようになるのは嬉しいですし、構わないと思います。でも、著作権の切れていない作家の場合はやはり問題が大きいのではないかと思いますね、個人的な感覚では。

それと何よりもこのニュースで嫌悪感を催すのは、アメリカの独善的な態度です。自分たちのルールが世界のルールだと言わんばかりの裁判のやり方にも違和感を覚えます。

アメリカ以外の国々の著作権ってどうなってしまうのでしょう、と思いながら記事を読んでいたら、ふと脳裏をよぎったのがディズニー法と呼ばれる著作権法のこと。考えれば考えるほど、アメリカって国は自分勝手だと思います。

が、このように図書館が蔵書を公開ってことになった場合、古典はともかく、今生きている作家(や著作権の切れていない作家・作品)の場合、例えば閲覧のみで印刷はできないとか、全文閲覧は不可にして、全文閲覧のためには課金するとか、何らかの方策が欲しいところです。(しかし、それをグーグルのような一企業がやってもいいのでしょうか?)

でも、この動きが進めば、だったらグーグルに任せておかないで、出版社が自らやればいいのではないでしょうか? というか、いずれはそういう流れになってくるのではないかと思うのですが、如何でしょう? でもって、それがさらに進めば作家が個人でドンドン公開するようになる、ってことですが、日本のケータイ小説って、既にそういう作品ですよね。

日本は進んでいるんだか後れているんだか、わかりません。

で、次の記事は、新書が活況だという記事。

でもよく読むと、これだけ新書が増えるのは不況の裏返し。結局は単行本に比べて単価が安いので書店も出版社も疲弊するだけ、という結論のような......

確かにその通りです。

それと記事には書いてありませんが、文庫や新書は単行本比べて採算ロットが高いはずです。単行本なら(出版社によって制作費の計算方法は違うので、あくまで大雑把な平均的な話として)、3000部から5000部作って、7割くらい売れれば採算がとれると思います。調子よく売れた場合も、1000部の重版(増刷)で儲けを出すことができると思います。

それに比べると文庫や新書は、最初に万単位で作っているはずです。いくら単行本よりは安いとはいえ、何万部も売れる新書なんて年間数点のはずですから、(一点一点で考えれば)ほとんどは採算割れなのではないでしょうか?

それに、いざ売れた場合でも、やはり数千部単位で重版(増刷)しないと、やはり儲けが出ないだろうと思われます。まだ売れそうだな、でもせいぜい3000部くらいもあればいいや、という見込みなのに重版は8000部とか5000部作らないと利益が出ないとなると、かなり無駄が多くなりますよね。

各社、いったいどうやって利益を生み出しているのでしょうか?

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