2009年2月25日

POSデータの活用

今日は午後から、飯田橋にある出版会館でPOSデータを営業活動に活かすというテーマでの講演を聴きに出かけました。講師は語研の高島氏と筑摩書房の小島氏のお二方。

高島氏は、小規模な語学書出版社ということで具体的にPOSデータを使って他社の競合商品のデータを分析し、それを自社の営業販売に活用しているというお話。

小島氏は、返品率の低下を目的としたPOSデータの活用、初版の部数・定価決定や重版の判断におけるPOSデータの利用に関するお話。

両社がやっていること自体は、あたしの勤務先でもやっている、やりつつある、やろうとしていることばかりで、そういう意味では新味には乏しい感もありました。ただ、あたしの勤務先と最も異なるのは、勘に頼らずデータに基づいた判断をするという意識が上から下までに浸透している点でしょう。

いや、両社だって一皮めくれば、そんなにうまくいっているわけではなく試行錯誤の連続だと言っていましたが、意識の程度があたしの勤務先とは月とすっぽんという感じを受けました。

さらにはデータを活用した上で、その解釈を共有しようという姿勢が、最も見習わなければならない点でしょう。

ところで、出版社から見てPOSデータが手に入るということは、どの書店でどの本が何冊売れたのかが嘘偽りもハッタリもなくわかってしまう、ということです。

そのために、これまでは●●冊あった新刊の配本数が減らされた、という書店からの声も上がってきているようです。このあたりについては個々の対応になるのでしょうが、返品率を下げるためには出版社として「売れない書店には本を無駄に送らない」という姿勢はやむを得ないと思います。

ただ、例えば、あたしの勤務先程度の出版社のレベルで語るなら、3冊売るのに5冊の配本で済む書店と10冊の配本を必要とする書店があった場合、後者の配本数を5冊に落とすのは理にかなった行為だと思います。でもそのために、配本数が5冊になった後者の書店は、今後も3冊を売ることができるのでしょうか?

たぶん、ここからが営業の仕事なんでしょうね。つまり、5冊の配本でも3冊を売れる書店のやり方や工夫を、後者の書店に当てはめてみる、サジェスチョンしてみるということです。これは言うは易く行なうは難しで、とても十全に出来ているとは思えません(←あくまであたし個人の話です)。

しかし、今回の講演会、あくまで出版社営業を聴衆とした講演会で、テーマも書店のPOSデータの活用でした。POSデータが全書店の80パーセントから90パーセント近くから手に入る現状で、それをどうするこうするという議論を出版社がしているわけですが、逆に書店は出版社からどんなデータが欲しいのでしょうか?

単品ごとの初版部数や配本数でしょうか?(←そんなもん必要ない、という声も聞こえてきますが...)あるいは1ヶ月後の全国での実売数とかでしょうか?

書店からこれだけデータが集まっているのに、出版社はどんな(有用な!)データを書店に提供できているのかな、とちょっと疑問に思いました。

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