2009年1月16日

センスが違う?

ザ・ロード』を読み終わったんですけど......

基本的な感想はこちらに書きましたが、他の方々の絶賛や賛辞がどうも理解できません。この作品をいいと思えないあたしがおかしいのでしょうか?

確かに、この作品のように何も起こらないストーリーというのはなくはないですが、もうダメかと思うと都合よく食料や身にまとうものが見つかるご都合主義のようなところもあり、極限状態の親と子の云々、といったレビューも「それがどうした?」という気になってしまいます。

ただ、少し時間をおいた今になって考えてみますと、例えば歌舞伎のように長い長い作品の、ほんの一段だけが上演されて、それを見たような感覚を覚えます。例えば「菅原伝授」の中の「寺子屋」を見た、という感じです。

つまり、本作品も、こういう世界になってしまうまでの過程を描く前段階、父を失った息子のその後を描くアフターストーリー、そういう遠大な物語が構想されていて、その中の一段なんじゃあないかと、そういう風に見れば、まあ佳作かなあと言えなくもない。

でも「寺子屋」などは、それだけでも十二分に見せる物語ですが、果たして本作がそこまでの水準に達しているかどうか......。あたしが子供を持つ立場になれば、また異なる感想を抱くかもしれませんが、現段階ではそれは難しいですね。

あと、やはりアメリカだからなのか、自分たちは正しくて、正しければ救われる、というお気楽な意識が底辺に流れている感じがして、それがどうも鼻につきました。


こういう感想を持ってしまうあたしって、やはり文芸作品を読むセンスがないのでしょうか?

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