2008年11月 1日

天野酒

もう十年近く前になると思います。あたしがまだ編集部時代の話です。

編集部時代には、この時季、教科書出張と言って、大学の語学の先生を挨拶回りするのが恒例でした。あたしは入社以来、大阪と奈良を回っていたのですが、知り合いがちょうど同じ時期に大阪に出張で来ることになり、「じゃあ、梅田で呑もうよ」という話になりました。

で、入った店は阪急梅田駅の下、かっぱ横町の飲食街の中の飲み屋だったと思います。最初はビールを飲んで、その後日本酒に切り替わったのですが、そこで呑んだのが天野酒です。




その人は日本酒にも洋酒にも詳しい人で、「ああ、この店、天野酒置いているんですね」と言って、この天野酒を注文してくれました。

あたしと言えば、全くどんな酒なのかわからず、ただ美味しくいただいたという想い出しかありません。


しかし、この時の飲み会は、その後が大変でした。

二人で呑んだのですが、さんざん呑んで食べて、もうお腹いっぱい、というのに、店を出た後、その連れが「もうちょっと呑もう」と言い出して、すぐそばのホテル、阪急インターナショナルだったはずですが、そこのラウンジへ行ったのです。

ホテルのラウンジですから、さっきまでの居酒屋とは違います。こんどはカクテルとか洋酒になります。ここでグラスにそれぞれ3杯か、4杯呑みました。既に先程の居酒屋で、天野酒を、二人で一升以上は呑んでいたので、かなり出来上がっています。

でも、非常に愉しく、そして美味しく呑んで、「じゃあ、また機会があれば旅先で呑もうね」といってホテルの前で別れ、それぞれの宿泊先のホテルへ帰ったのです。

相手は阪急インターナショナルではなく、その近所のホテルに宿泊していたようです。あたしは大阪駅南側の梅田OSホテルに泊まっていました。

翌日の晩、その人からホテルに電話があり、「機能はホテルの部屋まで送ってくれたの? ありがとう」と言うではありませんか。

「いえ、最後に呑んでたホテルの前で別れたじゃないですか?」と言っても、相手は既に記憶がぶっ飛んでいるようでした。かく言う、あたしも実は相手と別れてから、どうやってホテルまで戻ったか覚えていません。最後に呑んでいた阪急のホテルは大阪駅の北側で、OSホテルに帰るには、地下街を通るかして帰ったと思うのですが、全く記憶がないのです。


そんな愉しい(?)想い出のある天野酒、あまり飲み歩いているわけではないので、関東では見かけることがなかったのですが、さすが大阪だと百貨店のお酒売り場に置いてありますね。

ついつい買って帰ってきてしまいました。

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