2008年10月23日

自負と偏見のイギリス文化

自負と偏見のイギリス文化―J・オースティンの世界』読了。


この前にちくま文庫版『エマ (上) 』を読んでいて、『エマ (下) 』に入る前に、この岩波新書に向かいました。結果から言いますと、岩波新書は「オースティン作品入門」であって、各長編小説の簡単なあらすじがコラム形式で書いてあるので、(下)の内容がわかってしまいました(汗)。

まあ、コラムを読まなければよかったのですが、あたしの場合、推理小説の犯人を教えられても気にならないタイプなので、むしろ(上)を読んでいて、たぶんこの先こうなるんだろうな、と予想したとおりの展開だったので、ちょっと笑ってしまいました。


さて、この岩波新書ですが、タイトル、正題は「自負と偏見のイギリス文化」ということでイギリス文化、特にオースティンの時代を中心に見た、階級意識とかを意識した命名だと思います。

そして副題に「オースティンの世界」とあるのですが、読む限り、メインは「オースティン作品入門」であり、そこから読み解くイギリス文化、ということで言えば、あともう一歩突っ込んで欲しかったと思います。所々という紙幅の都合だと思いますが、オースティンの引用が主になりすぎてしまっていたかなあと思います。

なので、内容から考えると、あたし流になら本書の正題と副題を入れ替えるところですね。このあたりの各出版社の命名、著者の意向もあるとは思いますが、そのあたりは面白いものです。

ただ、オースティンの各作品のあらすじが載っていたり、初めの方に関係地図とオースティン一族の系図が載っていて、これは便利でした。

また、最後の原題に至るオースティン受容史は、やはり分量的にはちょっと中途半端であり、これに紙幅を費やすのであれば、もう少しオースティンの時代(リージェンシー)とヴィクトリア時代の風俗、人々の生活に紙幅を割いた方がよかったのではないかと思います。(受容史は受容史で、また別個な本として書いてもらいたいと思いますが......)

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