2008年10月 7日

ドンピシャ(?)な本

今朝、ノーベル医学生理学賞の発表がありました。

えっ、出版社ならノーベル文学賞に注目でしょ、なんでまた医学生理学賞なのよ? と言われそうですが......



まずは、既に迅速に情報をアップしてくれている、あたしの勤務先のサイトをご覧ください。

今回の受賞はHIVの研究者に対して贈られています。HIV、つまり誤解を恐れずにわかりやすく言ってしまえばエイズですよね。

で、上記のサイトでも紹介しているようにあるんですよね、ちょうどよい本が! 『エイズ研究の歴史』、文庫クセジュの一冊で、なんと1000円札でおつりがくるお値段です。

たぶんHIVにしろ、エイズにしろ、それをわかりやすく解説した本というのは、日本でもたくさん出ているんだろうと思います。でも、今回受賞した方々の研究の歴史、そして新聞紙面にも書いてありましたが、研究過程における論争についても、実に詳しく書かれているのが、このクセジュです。

言われてみれば書名からもわかるとおり、「エイズとは何か」とか「HIVウィルスとは?」のような本ではなく、まさしくエイズ研究史の本なんです。ある意味、実に政治的な、きな臭いところにまで書き及んでいる本なわけです。

簡単に目次から内容を紹介しますと、第一章「疾患の確認におけるウイルスの起源」、第二章「研究の第一歩(1982年)」、第三章「新しいウイルスの発見(1983年)」、第四章「エイズの原因の確認(1984年)」、第五章「ロバート・ギャロの研究をめぐる論戦」、第六章「既知と未知の論争」、第七章「研究予算と研究方法」、第八章「研究の進歩と限界」で、その後に補遺がついています。

欧米におけるエイズ研究、HIV研究の歴史を、これほどコンパクトにまとめた本は、たぶん国内ではないのではないでしょうか?

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