項羽と劉邦の時代
『項羽と劉邦の時代―秦漢帝国興亡史』読了。
項羽と劉邦、およびその前後の時代を、『史記』や『漢書』の記述だけを頼りとするのではなく、出土資料なども斟酌しつつ、改めて概観した一書。
『史記』と『漢書』の記述の矛盾点だけでなく、『史記』の中の矛盾など、これまで薄ぼんやりと疑問に感じていたことなどを、出土資料やそこから見え てくる当時の社会状況をもとに推論し、納得のいく(辻褄の合う)結論を導き出してくれるので、目から鱗の落ちる思いで読了しました。
ただ、一般読者向けの本であるため、出土資料などの扱いに、やや簡略すぎる感もあり、いちおうは中国史を専門とした身にはやや物足りない部分もありました。
その一方、講談社選書メチエという容れ物から察するに、専門家以外の人を読者として想定しているのでしょうけど、やはり中国史に興味を持っている人でないと若干難しい部分もあるかと思います。
しかし、全体的には、各章はコンパクトにまとまっており、図版なども十分に入っていますので、理解しやすく、読みやすい本です。
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