2006年7月28日

貝と羊の中国人

貝と羊の中国人』読了。

中国人の特性を貝と羊で表わした日中比較文化論。と言っても小難しい話は出てきません。また、取り立てて、数多い中国論を批判している本でもありません。

確かに著者は多くの中国脅威論などを暗に批判していることは読み取れますが、その目線はもっと素朴なものであるように感じられます。

もう生理的に中国は嫌いという人はともかくとして、特に中国にこれといった嫌悪も好意も抱いていない人なら、著者のような目線・視点で、まずは中国のこと、日中関係のことを見つめてもらいたいとつくづく思いました。

もちろん著者は中国礼賛者ではありませんし、狂信的な親中派というわけでもないようです。お互いのことをまずはよく知って、その上で言うべきことはいい、直すべきことは直そうという、極めて常識的なメッセージを送っているようです。

2006年7月24日

「権力社会」中国と「文化社会」日本

「権力社会」中国と「文化社会」日本』読了。

著者は「社会特質」という言葉を使って日本社会と中国社会の違いを比較しています。日本と中国で同じような事柄に対して反応が異なるのもこの社会特 質の精だというのですが、それぞれの社会特質がどうして形成されたのかについてはほとんど述べられていませんので、結局中途半端な議論になってしまってい るのが残念です。

また、さまざまな日中間の問題を取り上げていますが、客観的なデータなどを全く挙げていないため、ほとんどが著者の主観に感じられてしまい、説得力に欠けます。面白い比較や論点も散見されるだけに残念です。

もう少し統計データなどを駆使すればよかったのに、と思うのですが、あくまで学術的な書ではなくエッセイと割り切れば、著者の日本印象記として気軽に読めます。

2006年7月 7日

君子の交わり、小人の交わり

君子の交わり、小人の交わり―日中関係を90度ずらす』読了。

売れに売れている養老孟司さんと王敏さんの対談集。サブタイトルにある「90度ずらす」という言葉、本文中に一、二か所ほど言及がありましたけど、これといってメインテーマになっていない憾みが残ります。せっかく90度ずらした地図まで載せているというのに......。

それに対談だからなのか、全体的にまとまりがなく、何が言いたいのか伝わりにくいところがあります。もう少し編集してもよかったのではと思います。

それと養老氏はほとんど中国については詳しくはないようですので、養老氏が聞き、王敏さんが答えるというスタイルに徹した方がよかったのではないかとも思います。全体的には養老さんの話を王敏さんが感心しながら聞いているという印象が強いです。