2006年1月12日

「小皇帝」世代の中国

「小皇帝」世代の中国』読了。

既に一人っ子政策の第一世代は社会人となり、購買力や学歴など様々な面で、社会への影響力を増しつつあります。そんな一人っ子世代の有り様を描き出した一冊です。

中国の場合、日本や西欧諸国がそれなりの年月をかけて歩んだ道のりを、わずか十余年、場合によっては数年で駆け抜けてきたわけで、その「駆け足」は今も続いている状態、否、ますます加速度を増しているように思えます。

急激な社会変革が巻き起こす様々なひずみ・ゆがみに加え、一人っ子という問題(甘やかし、対人関係などなど)、社会主義から事実上の資本主義への転 換。そういったものが一気に出現し、なおかつ広大な国土と人口を持つ国だけに、ひずみや格差が日本などの数倍にもなって現われているのが今の中国なので しょう。

ですから、本書は別に中国のお話として読まなくとも、<主語>さえ見なければ、現代日本若者事情としても読めてしまいます。そんな中国のこれからを になっていく若者と日本人はどうつきあっていけばよいのか? 著者の解答は交流を広め深めていくしかないってことのようですが、これだけ中国の若者の中へ 飛び込んでいった著者だけに、研究者やジャーナリスト、ビジネスマンには思いもつかない処方箋を示して欲しかったと思うのは、虫のいい話でしょうか?

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