だれが中国をつくったか
著者は中国人の歴史を観る眼が数千年来変わっていないということを『史記』以来の正史を例にとって述べているのですが、どちらかというと本書は代表的な正史とその編纂に関わった人の紹介という読後感が残ります。つまり「はやわかり!中国の正史」といった感じです。
確かに最初に中国人の歴史観概論を述べているのですが、各正史を扱った部分では、正史の成立過程やそれに携わった人々の伝記の記述に紙幅のほとんど が割かれていて、著者の最初のテーマをきちんと証明していく形になりきっていません。ですから、本書はあまりそういったことを考えずに代表的な中国の正史 の概論書と思って読んだ方がわかりやすいでしょう。
たぶん、新書という性格上、一般読書に配慮してこのような形になってしまったと思うのですが......。
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