中国は社会主義で幸せになったのか
中国の近代以来の歴史を、共産党を中心に俯瞰したもの。中国の革命の歴史、特に共産党の革命が、社会の土台を変革することなく、マルクス主義の教条 に引きずられて進んでしまったため、中華人民共和国も、その内実は中国伝統の封建王朝と変わりはなく、毛沢東はましさくその皇帝であったという。
中国がその実態は何も変わっていない、という議論は別な人の著作でも読んだことがあるような気がしますが、本書は非常に明快な論調です。ただ、清末以来の歴史を俯瞰するには、やはり紙幅が足りなかったかなという気がします。
中国がなぜ国民党でなく共産党によって治められるようになったか、また文化大革命などの悲劇がなぜ起こったのか、という疑問には簡単には答えられま せんし、答えはそんなに単純明快なものでもないでしょう。ただ本書はそれなりに納得できるわかりやすい回答を用意してくれています。
それにしても、周恩来をはじめとする当時の指導者は、なぜに毛沢東の独裁を抑制できなかったのか、という点については、やはりまだ疑問が残ります。 個人的には、あれだけの国土と人工を持つ国は、多少の誤りがあろうともカリスマ性を持った指導者が強引に引っ張っていかないと前へ進めなかったからではな いかと思っているのですが......
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