2005年9月18日

高校の中国語

今朝(9/18)の朝日新聞朝刊に載っていた記事です。

高校で中国語を教えている学校が増えているそうです。この記事自体、と言いますか、記事の内容は既に数年前から言われていて、「朝日新聞さん、何を今さら...」という気がします。

ただ、記事を読む限り、昨今はきちんと単位認定される授業としての中国語が増えているのかな、という印象を受けました。

かつての<高校中国語>というと、クラブ活動のようなものも多く、とても「中国語に取り組んでいる高校です」などと胸を張って言えるような代物ではない学校も多かったのですが、このところ状況が変わってきているんでしょう。

英語以外の外国語の履修情況が記事の片隅に載っていましたが、既に中国語は二位のフランス語の倍近い数なんですね。むしろフランス語は三位の韓国・朝鮮語に猛追されているような......。

にもかかわらず、あたしの勤務先って、いまだにフランス語が勢力が強いと思っているんですよ。ここまで数が開いているなんて信じられない、信じたくないって思っている人が多いんじゃないかと思います。狂ってます。

それはまあよいとして、韓国・朝鮮語の呼称。大学の講座名もそうですが、やや迷走している館がありますね。本屋さんでも「朝鮮語」ってあると、北朝鮮の言葉だと思っている書店員さんも結構いますし......。

2005年9月 7日

「日中友好」は日本を滅ぼす!

『「日中友好」は日本を滅ぼす!―歴史が教える「脱・中国」の法則』読了。

日本史において中国と距離を置いた平安時代や江戸時代は日本が発展し、中国にかかわった時期は日本は混乱に陥ると述べる導入部。そういう見方もある のかなという気持ちで読みました。この論をきちんと肉付けしていけば、それはそれで面白い日中関係史の本が出来上がりそうなのですが、著者の説明はごく簡 単にあっさりとすまされてしまい、論拠も弱く、とてもうなずけない意見だと感じてしまいました。それがちょっと残念です。

本書の大部分は、おのずと近代以降の日中関係で、中国とほとんど無関係に脱亜入欧を目指した明治、復興に励んだ戦後は日本の発展期となり、昭和の大陸侵略や国交回復後の中国と関係を持った時期は混乱期であるという論調です。

このような立場に立ち、果たして日本は今後も中国と友好的にやっていけるのか、アメリカと手を切ってまで中国に肩入れするのは果たして得策なのかと いう意見。これには啓発を受けました。日本は非常にたくさんの国と国交を結んでいますが、どの国との間でも「友好」なんて声高に主張しておらず、中国と国 交を結んでいる欧米諸国も別段「友好」を叫んではいない、なぜ日中だけが「友好、友好」と騒ぐのか、著者の石林氏はそう言います。友好なんて謳わなくても いいから、ごく普通の国と国関係でいいじゃないか、という主張には、実際大陸で事業を展開している企業人には「そんな簡単なものじゃない」と言われそうで すが、今後の日中関係で、意外と大事な視点なのかもしれません。

2005年9月 4日

中国は社会主義で幸せになったのか

『中国は社会主義で幸せになったのか』読了。

中国の近代以来の歴史を、共産党を中心に俯瞰したもの。中国の革命の歴史、特に共産党の革命が、社会の土台を変革することなく、マルクス主義の教条 に引きずられて進んでしまったため、中華人民共和国も、その内実は中国伝統の封建王朝と変わりはなく、毛沢東はましさくその皇帝であったという。

中国がその実態は何も変わっていない、という議論は別な人の著作でも読んだことがあるような気がしますが、本書は非常に明快な論調です。ただ、清末以来の歴史を俯瞰するには、やはり紙幅が足りなかったかなという気がします。

中国がなぜ国民党でなく共産党によって治められるようになったか、また文化大革命などの悲劇がなぜ起こったのか、という疑問には簡単には答えられま せんし、答えはそんなに単純明快なものでもないでしょう。ただ本書はそれなりに納得できるわかりやすい回答を用意してくれています。

それにしても、周恩来をはじめとする当時の指導者は、なぜに毛沢東の独裁を抑制できなかったのか、という点については、やはりまだ疑問が残ります。 個人的には、あれだけの国土と人工を持つ国は、多少の誤りがあろうともカリスマ性を持った指導者が強引に引っ張っていかないと前へ進めなかったからではな いかと思っているのですが......