中華文人食物語
『中華文人食物語』(南條竹則、集英社新書)読了。
中華の名菜と、それにまつわる著名人のエピソードを、著者の南條氏が実際に統治へ足を運んで食べ歩いた経験とともに軽妙洒脱にまとめた一冊です。
南條氏があとがきでいみじくも自ら述べているように、自分が何を食べてきたかを書き連ねているようなところもありますが、中国史の著名人やそれほど有名でない人も織り交ぜ、文章自体は面白く厭きさせません。
ただ、もう少し面白いエピソードでないと、中国史に興味を持っている人以外にはつまらないかもしれません。なぜなら中国史はとてつもなく面白いエピ ソードにあふれていて、またそのようなエピソードの数々が様々な形で日本人に紹介されているので、そんじょそこらの物語では読者の興味をなかなか引けない からです。
しかし、こういった本を読みを終わってつくづく感じるのは、どの国にも食文化というものはあるのでしょうが、こうして本にまとめられ、それなりの数の読者を獲得できるほどの広がりと深さを持っているのは中華料理とフランス料理くらいでしょうか。
欲を言えば、本書で紹介された歴史のあるメニューが、日本と禹域、今ならどこで食べられるのか、そういう情報も欲しいところです。
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