2005年5月30日

中華文人食物語

中華文人食物語』(南條竹則、集英社新書)読了。

中華の名菜と、それにまつわる著名人のエピソードを、著者の南條氏が実際に統治へ足を運んで食べ歩いた経験とともに軽妙洒脱にまとめた一冊です。

南條氏があとがきでいみじくも自ら述べているように、自分が何を食べてきたかを書き連ねているようなところもありますが、中国史の著名人やそれほど有名でない人も織り交ぜ、文章自体は面白く厭きさせません。

ただ、もう少し面白いエピソードでないと、中国史に興味を持っている人以外にはつまらないかもしれません。なぜなら中国史はとてつもなく面白いエピ ソードにあふれていて、またそのようなエピソードの数々が様々な形で日本人に紹介されているので、そんじょそこらの物語では読者の興味をなかなか引けない からです。

しかし、こういった本を読みを終わってつくづく感じるのは、どの国にも食文化というものはあるのでしょうが、こうして本にまとめられ、それなりの数の読者を獲得できるほどの広がりと深さを持っているのは中華料理とフランス料理くらいでしょうか。

欲を言えば、本書で紹介された歴史のあるメニューが、日本と禹域、今ならどこで食べられるのか、そういう情報も欲しいところです。

2005年5月29日

関西大学「おんらいんちゃいな」

関西大学による、オンライン中国語学習サイト「おんらいんちゃいな」を発見しました。

なかなかよくできています。インターフェースもクールではないでしょうか。個人や大学でこのようなEラーニングサイトが増えてくると、学習者も便利になりますね。

このサイトは関西大学の中国語教員による「中国語教材研究会」のプロジェクトの一環のようです。

2005年5月25日

漢語からみえる世界と世間

中川正之『漢語からみえる世界と世間』読了。

著者・中川先生は、あたしが担当した『白水社中国語辞典』でたいへんお世話になった方なので、こういった読書感想は書きにくいのですが......。

全般的に言って、言語学に興味のある方には十分面白く、肩肘張らずに読める本です。並製という造りからもわかるように、決して専門家向けではなく、一般の<コトバ>マニアにも十分楽しめるものと言えます。

ただ、やはり一般の方の場合、中国語を知ってないとついて行きにくい部分もあります。説明しなければいけない部分をかなり省略したのではないかと思 われますので、「なんで、そうなるの?」といった疑問が中国語不安内の人にはわき起こるかもしれません。よく言われるように言葉は生き物なので、また中川 先生自身が本書中で書かれているように、もっと実例を採取したり、検証したりしないといけない部分も多々あるでしょうが、そういう部分を抜きにして、日本 語ってこんなに中国語の影響を受けたのに、こんなに違うんだ、と素直に感じられればよいのかもしれません。

また「世界と世間」というタイトルで、これが「新書」であれば、それこそ誰が読んでも面白おかしいエッセイになるのでしょうが、そこは岩波書店、読者ターゲットはもう少し上級をねらっているという感じがします。

刊行前に、中川先生とお話しした時に、ちょうど反日デモなども起こっていた時期でしたので、言葉を通じてどのように世界・世間をとらえているかとい う日中比較の視点から、現在の状況に触れるのも面白いかもしれないが、状況があまりにも過激に動いているのでそこまで踏み込まなかったというような話を伺 いましたが、本書を読んで現在の日中問題を考えるのは、偉そうな言い方かもしれませんが、読者の仕事ではないかと思いました。

2005年5月21日

学研・藤堂漢和、改訂

学研から出ている藤堂明保『学研漢和大字典』が改訂されました。今度は『新漢和大字典』という名称です。

学研によりますと

親字約2万字へ大幅追加。コトバを記録するための文字という言語学的原則から、意味・成り立ちを解説。音と意味との関係を再整理し、用例を多数追加。平成16年のJIS改正と新人名漢字に対応。コンピューターにも対応する最新漢字情報。

ってことのようです。この字典、多少クセはあるものの、古代音などの復元など、それなりに面白い試みも満載なので、こういった名著が時代の流れに合わせて改訂されるのは、とても嬉しいことだと思います。

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