上のトップ画像は北京五輪2年前ほどの北京・東単交差点だったと思います。バック画像は西安の兵馬俑博物館に展示されていた武俑です。

2006年1月16日

「名君」「暴君」大逆転の戦国史

「名君」「暴君」大逆転の戦国史』読了。


著者は、一般の戦国史ものは主観や後世の伝説などにとらわれて正しい歴史を伝えていないと述べていますが、読んでみると、だからといって特別新しい事実や視点が提供されているわけでもなく、良くも悪くも<読みやすい新書>ですね。

取り上げているエピソードも、結局著者自身の好みって感じがしてしまい、著者の語る「狙ったもの」に、どこまで本書が成り得ているのか疑問です。

2005年11月25日

博物館の誕生

博物館の誕生―町田久成と東京帝室博物館』読了。

現在の東京国立博物館を作った町田久成の伝記であり、博物館の創設記です。そこに、大きなドラマだとか感動の物語というものがあるわけではなく、ごくごく普通に、悪く言えば予想通りに歴史は進んだな、というのが率直な印象です。

町田と同時期に上野動物園を作った田中氏が多少印象悪くかかれていましたけど、「動物園の誕生」という本があれば、本書とは全く逆の記述になるのでしょう。

ところで本書は、豊富に当時の写真なども挿入されていて、物語が非常にわかりやすくなっています。一番のおすすめポイントは、そんなところかもしれません。

2005年11月21日

ジャンヌ・ダルク

ジャンヌ・ダルク―歴史を生き続ける「聖女」』読了。

著者の高山氏は、あたしの勤務先から刊行した『ジャンヌ・ダルク処刑裁判』『ジャンヌ・ダルク復権裁判』の編訳者で、この著書でもジャンヌ研究の基本資料となる両書を納戸も引用しています。

さて、この本はジャンヌ・ダルクという少女の一生を追うわけでもなく、なぜ火刑に処せられたかを探るものでもありません。ジャンヌとその時代を知ろうという人には面白くない、期待はずれの本かもしれません。

本書の主テーマは、ジャンヌ像の変遷、つまり、あたしたちがよく知っている(そうだと思いこんでいる?)いわゆる「ジャンヌ・ダルク」は、ジャンヌの死後どのようにして造られたのか、ということです。

ジャンヌは聖女が否か、あるいはフランス王室の血を引く者ではないかといった時代時代に湧き起こったジャンヌ論をわかりやすくまとめてあり、新書サイズでコンパクトなジャンヌ・ダルク研究史といった一書です。

少し前に読んだ、『マグダラのマリア―エロスとアガペーの聖女』が、マリアその人の生涯を知りたかったのに、「マグダラのマリア像の変遷、成立過程」を述べた本であったことにがっかりしたのと逆の現象が本書で味わえました。

それにしても、ジャンヌ・ダルクが魔女として処刑されたと思いこんでいた私は本当に西洋史に弱いです(涙)。

2005年11月16日

多神教と一神教

多神教と一神教―古代地中海世界の宗教ドラマ』読了。

古代地中海周辺世界の宗教の変遷をコンパクトにまとめた一書。ただ、こちらに古代ヨーロッパ史の知識が薄いため、消化不良なところがあります。

多神教から一神教への変化が歴史上の大事件であるというのは理解できますし、一神教になればなるほど排他的になるというのも理解しやすいです。

この歴史の流れを説明するのに、あたしのような素人には、もう少し庶民の生活、当時の社会の有り様ってものを詳しく描いてもらいたいと思いました。 エジプト人は毎年のナイルの氾濫の前になすすべもなく、そこには人の力ではどうにもならない大いなる力が働いていると考えていたとありましたが、そういっ た実際に生活している庶民の目線で、もう少し説明してもらえたら、わかりやすくなったのではないかと思います。
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