上のトップ画像は北京五輪2年前ほどの北京・東単交差点だったと思います。バック画像は西安の兵馬俑博物館に展示されていた武俑です。

2005年11月 7日

日仏カップル事情

日仏カップル事情-日本女性はなぜモテる?』読了。

先頃、あたしの勤務先から翻訳書『だから母と娘はむずかしい』を刊行した夏目幸子さんの書き下ろし。

日仏カップルと言っても、その中心はフランス人男性と日本人女性という組み合わせで、そのカップルがなぜ成立しやすいのかを考察しつつ、日本人女性のあり方や日本人男性の思い込みなど、別にフランスに関係なく、男女論・恋愛論としても読めます。

ただ、著者がフランスを取り上げる時、文中では「多い」という言葉がしばしば使われていますが、今の日本でそんなにフランスってメジャーな国なの(?)という素朴な疑問がわきます。

あたしみたいに中国に興味を持っている人間からすると、テレビのドキュメンタリーやスペシャルの対象地域、新聞でのニュースやコラムで取り上げられ る頻度、どれをとっても現在の日本で、フランスは中国に遠く及ばない感じがします。それなのに、フランスを一所懸命取り上げて......、と思ってしまうので す。

あたしの勤務先も、「フランスの」という枕詞をつけて言われることが多いように、社内にもフランス語やフランス文学を学生時代に専攻していた人が比 較的多く、また出版傾向からもフランスを過大に評価する傾向があります。「多くなっている」「増加している」と言われると、「あ、そうですか」と冷ややか に突き放したくなるのは、あたしの欠の穴が小さいからでしょうか?

そういったフランス臭を抜きにして読むと、なかなか面白い読み物です。この手の本を読むと、女は家庭と言った伝統的な価値観は時代遅れ、淘汰される べきものという言説が多く、本書もそういった傾向の本です。ただ、著者の身近にいる人たちが題材になっているぶん非常にリアルに感じます。

ただ、フランスや欧米のカップルのあり方と比べると日本人の意識は時代遅れなのかもしれませんが、果たして欧米のカップルのあり方が、未来のあるべ き姿なのだろうかといつも考えてしまいます。古い伝統的な観念にとらわれて、女性は家庭を守るべきだと決めつけてはいけないと言われると、「あなたも、歴 史的にどうしてそういう考え方が生まれたのか、そして長いことそれが根付いてきた合理性をやみくもに否定するような考え方で決めつけているのではないです か?」と反論したくなってしまうのです。

ところでこの本では、オビにも書いてあるセリフなんですが、親子というタテの関係の日本と夫婦というヨコの関係のフランスという対立の構図が描かれ ています。そしてタテよりもヨコが大事だと言われています。本当にそうなのかはおくとして、先に読んだ王敏さんの著作では、日本人はヨコ(現在)を大事に し、中国人はタテ(歴史)を大事にする国民性であるとあるのを思い出しました。

両書でタテとヨコの含意は微妙に異なりますが、あたしの中ではなんかシンクロして面白かったです。

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