上のトップ画像は北京五輪2年前ほどの北京・東単交差点だったと思います。バック画像は西安の兵馬俑博物館に展示されていた武俑です。

2005年7月23日

花まんま

花まんま』読了。


先頃発表された直木賞・朱川湊人さんの短編集で、直木賞などとは関係なく、ずいぶん前に買っておりました。ふだん営業回りしている書店で、担当の方が手す きになるのを待つ間、書棚を見ていて見つけた本です。平積みしてあったわけですが、こちらのお店の担当者、さすが慧眼の持ち主です。

短編ということで読みやすいです。大阪弁や大阪が苦手な人はちょっと辛いかもしれませんが、この十数年、大阪の先生方の付き合いを通じ、あたしもかなり大阪に慣れましたので、逆に大阪の作家の作品だから買ってしまったという面があります。

さて、この短編集、どれもちょっとホラーというか、「子供の頃に聞いた怖い話」「自分たちで勝手に膨らませたお化け話」といったものばかりです。大 人になった今から見るとなんか滑稽でほほえましい、という目線で作品も書かれています。つまり、大人になった自分が幼かった頃の想い出を語るという構成で す。

話の中ではタイトル作『花まんま』が、個人的には一番涙を誘われ、気に入った作品です。ホラーの中に人の情愛とかが描きこまれていて、怖いところな ど少しもありません。あと、最後に載っている「凍蝶」も、「そんで、その後どうなったの?」と聞きたい感じが、でもこの中途半端に終わっているところが子 供の頃の想い出でしょ、という感じで、そこがいいところだと思います。

実はどの話も、なんとなく中途半端な部分を感じます。でも、それって、あたしが大人になってしまっているから感じるのであって、子供の頃にはこう いった経験ってよくあります。なんで、あそこでああしなかったの、あの時こう言えばよかったのに、といった想い出はいくつもあるものです。あの時、結局ど うしたんだっけ、どうなったんだっけ、という体験もいっぱいあります。そんな微妙な部分がこの短編集にはよく描かれているんじゃないかと、生意気にも思っ た次第です。


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