2005年07月号
このところよく売れている刊行物に『父 荷風』『澁澤龍彦との日々』があります。少し前には『わが父 波郷』が売れました。どれも家族の目を通して 見た著名人というのが共通点です。「家族なら他人にはうかがい知れないことまで知っているだろう」という点が、読者の興味を引くのでしょう。
ところで、澁澤龍彦ですが、ワープロ泣かせの名前です。「彦」の上部は「立」ではなく「文」ですが、これは入れ墨を表わしています。入れ墨をした立派な成人男子のことを「彦」と言うのだそうです。
一方、「荷風」は当然「永井荷風」のことですが、好評既刊『荷風のリヨン』が出た時には「ニカゼノリヨン」という問い合わせが多かったです。このと ころ荷風本が各社から相次いで刊行されていますので、「荷風」とあるだけで、きちんと「カフウ」と呼んでくれる人が増えることを期待します。
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