「大岡裁き」の法意識
光文社新書『「大岡裁き」の法思想』読了。
タイトルからすると、もっと親しみやすい日欧比較文化論的なものかと思いきや、かなり硬派な日本法律制定史(?)概論です。
明治以来、西洋的な法典整備の流れを概観し、後半では日本人と法律について述べていますが、ここに例として出てくるのが「大岡裁き」です。一般読者 にとってはこの部分をもっとおもしろおかしく膨らませた方が楽しいのでしょうが、むしろ著者は、こういったタイトルから予想されるような日本特殊論を廃 し、むしろ日本人の法律意識は特殊でもなんでもないということを主張しています。
日本人はさまざまな分野において、とかく「日本(日本人・日本文化)は特殊である・孤立している」と考えることによって、実はそこに自己満足を見いだしていると、あたしも思っていますが、本書では法意識について、著者がこの点をはっきりさせています。
「売らんかな」というこのタイトルは、あたし同様、引っかかった人も多いと思いますが、改めて明治以来の法律史として読み直せば、非常にわかりやすい概論です。
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