上のトップ画像は北京五輪2年前ほどの北京・東単交差点だったと思います。バック画像は西安の兵馬俑博物館に展示されていた武俑です。

2005年3月18日

マグダラのマリア

中公新書『マグダラのマリア』読了。

数葉使ったカラー口絵といい、本文中に収録された図版といい、なかなか見ながら読ませる一冊です。基本的には西洋社会において「マグダラのマリア」 のイメージがどのように変遷していったのかということを、絵画作品や彫刻作品の表現からたどったものです。ただし、新書という性格のためか、私服の関係上 やむを得ないとはいえ、当時の社会風俗的な状況とマグダラのマリアのイメージの移り変わりの関係にもう少し筆を割いて欲しかったと思います。

また、今述べたように、あくまでも「マグダラのマリア像の変遷」が主であるので、実際のマグダラのマリアがどういう人であったのか、キリストとは実 のところどんな関係であったのか、二人の間に子供はいたのか、という週刊誌的ゴシップ話は皆無です。ゴシップはともかくとして、もう少しマリア本人のこと を知りたかったというあたしのような読者には、少々肩すかしを食らわされる可能性が大です。

とはいうものの、この本に登場する豊富な図版は、門外漢には似たような名前、作品名が頻出する記述の中で、非常に視覚に訴え、理解を助けてくれま す。図版を眺め、マリア自身や構図、周囲に置かれた小物など、そういったものの差異などを注目しながら図版を追ってみるのも、本書の味わい方ではないで しょうか。

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