上のトップ画像は北京五輪2年前ほどの北京・東単交差点だったと思います。バック画像は西安の兵馬俑博物館に展示されていた武俑です。

2005年3月14日

春の語学書シーズン?

春は外国語の参考書や辞典が、一年でもっとも売れる時季です。学校(主に大学)などでも新年度に合わせて、辞典やら参考書やらを生協や売店で売り始めますから、出版社からの出品冊数もかなりの数になります。

学校の場合は、授業が始まるのが4月とはいえ、その時点で本がないと売れませんので、3月初めくらいから注文が入り始めます。一般の書店さんからも、多くはNHKのラジオ・テレビ講座の開始がひとつの目安として、語学書フェアや辞典フェアが行なわれます。

ところが、最近はちょっと事情が違います。

簡単に言ってしまえば、学生(学習者?)が本を買わなくなってしまったのです。参考書は、特に学生の場合、本気でやる人を除けば、単位さえ取れれば いいという人にとって、参考書まで買う積極的な理由はないでしょう。一般の学習者の場合、それなりにモチベーションは高いのですが、「やっぱり参考書の一 冊も買わないとダメだ」と思うのは、連休明けから夏前くらいになるようで、春先から語学書フェアをやっても、以前ほどの売上が上がらなくなりました。そも そも諸外国語のフェアを大々的にやる書店・生協が減ってます。

辞典はもっと深刻です。電子辞書に喰われて、<紙>の辞書は売上が相当落ち込んでいます。ただ、落ち込んだ分、<デジタル>の辞典が売れているのか というと、そこまではいってないようで、つまりは<紙>だろうと<デジタル>だろうと、辞典そのものが売れなくなっているのです。

毎年この時季の辞典の売り上げというのが、語学書出版社の大きな収入源になっていましたから、これは非常に由々しき問題です。なんだかんだと言っても、辞典はふつうの単行本(文芸書など)に比べ、単価が高いですから、同じ冊数が出品されても金額がかなり違ってきます。

これは出版社にとって死活問題です。それでなくとも子供(=学生)の数が減り、なおかつ第二外国語を選択しなくてもよい大学が増えているわけですか ら、今後売上が伸びる外的要素がありません。そうなると、出版社としても当然のことながら、何割かは前年を下回るという前提の下に売上計画を立てないとな らなくなります。にもかかわらず、「前年並みを維持」というスローガンは降ろせないというジレンマに陥っているのが、あたしの勤務先を含め多くの語学・辞 典出版社の現状ではないでしょうか?

せめてもの救いは、国際化という流れの中で、英語以外の外国語にも関心が向き始めている、多くは望めませんが生涯学習が今後は盛んになる、といった程度でしょうか?

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