教科書は家に持ち帰りましょう!
学生時代、と言っても中学・高校時代ですが、ホームルームの時間に先生から「教科書をロッカーに置きっぱなしにしないで、きちんと家に持って帰るよ うに」と注意を受けたことがあります。あたしは比較的まじめな生徒だったので、教科書をロッカーに置いて帰るなんてしてませんでしたが、それでも資料集的 なものは置いていたかな......。英和辞典が重いので、それはロッカーに入れ放しでしたが、先生が「家でも学校でも同じ辞典を使って辞典に親しむように」と言 われて、もう一冊同じ辞典の卓上版を買って家に備えました(←なんて書店・出版社泣かせなのでしょう)。
大学に入ると、大学には個人用ロッカーなんてないので、重いカバンを毎日持って学校へ行きました。専攻のため、分厚い漢和辞典・中国語辞典を常備 し、英語がある日は英和辞典も持ってましたから、都合6キロ、7キロなんて重量になることもありましたが、満員電車では一種の凶器ですね。いまは電子辞書 があるから羨ましい!
さて、思い出話に花が咲いてしまいましたが、基本的に誰でも「教科書は持って帰りましょう」という指導を受けてきたことと思いますし、教科書を学校に置いて帰るなんて、本当はよくないことだと内心では思っていると思います。
ところが、この時期、あたしの出版社には大学の語学の先生から教科書の献本依頼の電話・ファクス・メールがしばしば届きます。たいていは来年度の検 討のために見本を送ってくださいというものですが、なかには、いくつかの学校で教えているので、持って歩くのは面倒だから、それぞれの大学に置いておきた い、という不心得な先生からの依頼もあります。
そもそも、このような大学向け語学の教科書は、毎年秋に来年度の採用検討用見本として、各出版社が大量に先生方へ送っているものです。先生の中に は、送られてきた教科書(たぶん毎年各社から合計すると100冊近い冊数が送られてくるでしょう...)にきちんと目を通して来年度の教科書選定のために検討 されている方もいらっしゃいますが、多くの先生は荷物を開けることもしないようです。そして数ヶ月が過ぎ、勤務先の学校の事務や専任の先生から「来年度の 教科書は○○社の■■に決まりましたので」なんて連絡を受けると出版社に「見本を送れ」と依頼してくるのです。
こちらとしては「その教科書は送ってるだろ!」と思うのですが、上述の代に、たぶん荷物を見てないという事情も知っていますので、言われるままに送 ることになります。それくらいならいいのですが、先に紹介した複数の大学で教えていて云々という先生に至っては、こちらもちょっとムッとしないでもありま せん。それくらい持って歩けよ、と思います。少なくとも2冊目以上は買ってくれよ、と思いますが、「お客さん」ですから、それも言えません。でも、相手が 金を払っているのならともかく、ただでもらおうというものを偉そうに要求してくるって、大学の教員というのはやはり世間とは感覚がずれているのでしょう。
もちろん中には非常に辞を低くして「送っていただけませんか、無理なら買いますから」という先生もいらっしゃいますが、そういう方は稀です。厳密に 統計を取ったわけではありませんが、フランス語・ドイツ語の先生に多いですね。それと中国人の方にも多いです。中国人の場合は独自のネットワークがあるの でしょう。「○○さんは、電話したら送ってくれたと聞きました」的な言い方をされる人が多いです。でも、毎年数百部も採用してくれている人と、ほとんど採 用してくれていない人を同列に扱うほどこちらもお人好しではありません。
やはり、ただでモノをもらうことに慣れてしまった人種(最たるものは政治家?)は、扱いづらいです。
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