上のトップ画像は北京五輪2年前ほどの北京・東単交差点だったと思います。バック画像は西安の兵馬俑博物館に展示されていた武俑です。

2005年2月 7日

万引きの不安?

去年(一昨年?)でしたか、書店主が、(マンガ?を)万引きした少年を追いかけたところ、その少年が遮断機の下りている踏切に進入し、走ってきた電 車に轢かれて死亡するという事故がありましたね。当初、追いかけた書店主の行き過ぎた行為が批判され、その書店はあえなく廃業になったところ、その後、む しろ非難されるべきは少年の方だったのではという声が上がり、多くの支援の声に勇気づけられ、その書店は復活しました。しかし、結局数ヶ月でまた廃業とい う結果に終わりました。

書店の薄利少売云々はさておき、実際問題万引きというのはどの程度の被害を与えているのでしょうか。大学時代にコンビニでバイトをしていたという友 人の話では、毎月売り上げの一割程度の被害が出ていると、店主は見積もっている(あらかじめ計算に入れている)と聞きました。これはかなり大きな数字です ね。ただ、その友達また曰く、でも深夜に一人でバイトしていて腹が減ると店のものを勝手に喰ってたから......。うーん、灯台、下暗し。昨今は防犯カメラも整 備されてきてますから、バイトが勝手に盗むなんて、難しいとは思いますが。

さて、なんで万引きなんかの話題を出したのかと言いますと、社内でちょっとした話題になったからです。この日記に何度か書きましたが、今年、あたし の勤務先は創業90周年です。各書店さんにお願いして記念のフェアを開くのはもちろんですが、単に「白水社90周年フェア」では、何の芸もありません。そ れこそどの出版社だって、何十周年フェア、○○文庫創刊何十周年フェア、○○新書刊行何十点フェアなんてやってるのと大差ありません。

そこで、今はもう品切れ・絶版になっている書籍の展示を出来ないかと、社内で声が上がっています。最近のものでは面白くないので、定年退職した人、 古くから付き合いのある著者などに声をかけ、面白い本が集められないかという声が上がっています。(まだ、こういう企画を正式にやると決まったわけではあ りません。)

で、こういう声が上がった時に、一部から「貴重な本を出して万引きされたらどうする?」という意見が出ました。それはそれでもっともな意見ですし、 皆で(もちろん実際にやるとなったら、やってくれる書店さんとも入念に)相談して万全の体制をとるべきだと思いますが、本が集まるかどうか、どんな本が集 まるかどうかも未確定な状態で、こういう否定的な意見が真っ先に出てしまうことが、個人的には情けなく思います。(実物ではなく、写真などを撮ってパネル などの形で出す、という予防策も出ています。)

創業の頃、あるいは戦前の書籍などというのは望むべくもないですが、数十年前(二、三十年前)程度の本でも、興味ある人には十分面白いのではないか と思います。(雑誌の「ふらんす」や既に廃刊になった「新劇」のバックナンバー展示も検討中!) あと、提供可能なら「自筆原稿」とか(澁澤とかの残って ないかな?)。

あと、個人的には無料で配りたいんですけど、90年の出版総目録。うちの目録じゃ、相当な好事家以外興味を引かないかもしれませんが、目録収集マニ アっていますからね。(ちなみに、あたしは個人的に1986年くらいまでの、タブ区切りテキストファイルで、出版総目録を持っているんです......  -_-;;)

どうも、会社のお偉方(年配者)は、記念出版と全店フェアくらいしか頭の中にイメージできないみたいなので、こういう予想外(想定外)の意見が社員 から出てくると、パニック障害を起こすみたいです。(どこの会社も同じかしら?) でも、ふつう90周年の企画と言ったら、前の年には「予算は○○万円 で、各自面白い企画を考えろ」とかって通達の一つが出てもよさそうなもんですけど、それもない会社なんです。もちろん、外部のイベントプラン会社などに依 頼するなんて発想は露ほどもないでしょうし。それじゃ、他社の何十周年フェアと何の差別化もできないじゃない?

愚痴っぽくなるのでもうやめます。話しは戻って万引きですけど、このところの国際ブックフェアでも、書店の万引き防止技術(防犯設備)の展示ブースが増えている感じがしますね。ああいうのを見ると、万引きが書店にとって、相当深刻な問題なんだなあと思われます。

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